ここ数年、個人の自己破産事件の相談・受任が増えているような気がしていましたが、最高裁判所の司法統計によれば、2019年から2022年にかけて、全国の裁判所の破産事件の新受事件数は、緩やかに減少しています。対する2023年1~9月の累計件数は、前年同時期に比べて5000件ほど増えており、新型コロナウィルスやウクライナ侵攻による物価高騰の影響がうかがわれます。
相談者の中には過去に自己破産の経験があるという方も珍しくなく、破産は人生で一度きり、と安易に言えない状況のように思います。蓄えができるだけの収入がなければ、失業や家族の入院治療等の突発的な事態に対処できないことは当然です。ぎりぎり年金等の収入があり、生活保護につなげられない方の場合、破産手続は終わっても危うい状況は続きます。
昨年迎えた事務所の50周年を経て、こうした問題の原因をつきつめて考え、解決策を探り、行動に移すのが事務所のあり方だと改めて諸先輩方に教わりました。容易なことではありませんが、だからこそ多くの人とのつながりが大切です。気持ちを新たに、埼玉総合の51年目が始まります。
(事務所ニュース・2024年新年号掲載)