【コラム】どんなに壁が高くても(弁護士鈴木満)

昨年6月に、出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正法が成立しました。この改正には、多くの人々が反対の声を上げ、成立に至るまでの間や、成立後しばらくは、メディアでも「難民」などについて、よく取り上げられていました。

昨年8月4日、出入国在留管理庁は、「送還忌避者のうち本邦で出生したこどもの在留特別許可に関する対応方針について」を発表しました。
この方針は、日本で出生するなど一定の要件を満たす18歳未満の子どもとその家族を対象に、今回に限り、在留資格を付与するというものです。なお、子どもが要件を満たしている場合であっても、親の事情次第では、対象外となります。
出入国在留管理庁が、このような発表をしたのは、改正法に対して、多くの反対の声があったことの影響ではないかと個人的には思っています。
この対応方針に基づいて、昨年のうちに、既に複数の家族が在留資格を取得しており、今年に入ってからも在留資格を取得できる家族は出てくると思われます。
この対応方針には不十分な点もあると思っていますが、それでも、何年もの間、不安定な身分で多くの不安を抱えて日本で生活をしていた子どもやその家族が、少なくとも今よりは安定した生活を送れるようになることはよいことだと思います。
良い報せが届くのを待ち遠しく思っています。

弁護士 鈴木 満

(事務所ニュース・2024年新年号掲載)

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