あっせん委員を務めて(弁護士 佐渡島 啓)

労働局のあっせん委員を務めて一年強になります。月に二件程度のペースで、解雇や退職勧奨、賃金未払、パワハラ・セクハラといった労働者と使用者との間のトラブルの解決に努めてきました。
私たち弁護士は、通常、一方当事者の代理人として活動します。しかし、あっせん委員では、この立ち位置とは違い、中立的な立場で労使双方の言い分に耳を傾けなければなりません。最初はこの違いを意識しすぎて、やや戸惑うこともありました。
しかし、あっせん委員として件数をこなしているうちに、代理人としての活動も、あっせん委員としての事件処理も、結局は目の前にいる当事者の話をよく聞くことが一番大事なんだろうと思い至るようになりました。
特に、あっせん手続では弁護士など法律家が代理人に就くことはほとんどないので、当事者からの生の訴えがダイレクトにあっせん委員に届いてきます。これを中立的な立場ではあってもしっかりと受け止める努力をすることで、あっせん手続がスムーズに進行するようになったと実感しています。
このようなあっせん委員として有意義な経験を、代理人活動にも生かして、さらに皆さんのお役に立てるよう精進いたします。

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