コストカッターの逮捕と派遣料金の切り下げ(弁護士 伊須 慎一郎)

日産自動車のカルロス・ゴーン代表取締役会長が、有価証券報告書の虚偽記載を指示した等の容疑で2018年11月に逮捕されました。
ゴーン氏は、労働者の首切り等でコストカットを行うことにより利益を出し、年間10億円を超える役員報酬を手にしたことで批判されていました。ところが、実際には、倍近くの役員報酬を取得していたようです。
ところで、リーマンショックの際、多くの大企業が派遣労働者を派遣切りしました。私も2009年から2015年まで、日産に派遣切りされた女性労働者の裁判を担当しました。
当時、日産は、派遣会社との間で、1時間当たりの派遣料金を数十円切り下げることにより、利益を搾り出そうとしており、驚いた記憶があります。
弱い立場の派遣労働者の首を切り、日産にものが言えない派遣会社から数十円単位の派遣料金を搾り取る経営を行ったゴーン氏の経営責任は重大だと考えます。
法律よりも自分の方が偉いと思い上がっている権力者や経営者が増えれば、フェアな民主社会は維持できません。異常な格差を是正する役員報酬の規制、派遣労働者の抜本的保護のための法改正など問題山積ですが、今年も微力ながら奮闘したいと思います。

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