労働者は都合のいい部品ですか?(弁護士 伊須 慎一郎)

弁護士 伊須 慎一郎

 トヨタ、ニッサン、ホンダ、マツダ、スズキ、いすゞら日本の名だたる自動車メーカーによる大量解雇事件が続発しています。理由は簡単。景気の落ち込みにより減産態勢に入るので、自動車部品を切り捨てるのと同じように、非正規労働者(派遣社員、期間工)を切るのです。

 景気の動向に合わせて人員を調整すること から、非正規労働者は企業の「調整弁」「安全弁」と言われています。広辞苑で調べてみると「弁」とは「valve」=「気体または液体の出入調節をつかさ どる器具の総称」とされています。大企業にとって非正規労働者は自由に取り外しの効く器具と同じなのかと愕然とします。

 実際、自動車メーカーは下方修正したものの経常利益を上げており、莫大な利益を内部留保しています。株主配当が増えた企業もあります。しかし、労働者の息の根を完全に止める大量解雇を行いました。いつ首を切られるか分からない労働者・家族は安心して暮らすことが困難です。

 安定した職場を確保するためには、大量解雇の原因である派遣法を、労働者保護法に生まれ変わらせないといけません。ところが、昨年提出された政府の派遣法改正案はさらに規制緩和を許す酷い内容です。

 政府の「名ばかり」改正 案が通常国会で可決されないよう注目しましょう。そして、みんなの声を結集し、労働者が安心して暮らすことができる社会を作りましょう。yes、we  can.

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