調停制度を是非活用してください(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

 2006年10月から簡易裁判所の調停官に就任しました。週に一度、簡易裁判所の調停の場に立ち会っています。調停は、裁判所を通じた話し合いの制度です。申立人は本人でも十分可能で、2人の調停委員(ないし調停官を含めた3人)が申立人、相手方双方の意向をじっくり聞きながら話し合いをまとめていく制度です。申立から1ヶ月程度で期日がはいり、その後、約1ヶ月間隔で期日が入りますが、早いものは2,3回程度で話し合いが終了します。訴訟のように、法律要件を厳しく問題にされることなく、ある程度、法律上の根拠があれば、話し合いを進めてくれます。

 調停は1回の期日に時間がかかる(訴訟は1回の期日は5分10分ですが、調停の場合、民事でも1時間、家事では2時間かかるのが普通です)こと、相手が出てこなければ話し合いも出来ないこと、相手が道理の通らないことを言っても判決で決着をつけるという道がないことなどから、弁護士は従来調停を敬遠しがちでした。私もその例外ではありませんでした。

 しかし、実際に調停を体験してみると、結構「使える」制度なのです。相手方は呼び出しを受けて結構出頭してきますし、道理による説得はかなりの効果をあげています。調停そのものには裁定的な機能がなくても、「裁判になれば、この程度の解決」ということが、話し合いを進めるうちに見えてきますから、申立の相手方もむやみに調停を拒否することもないのです。期日も結構早めに入ります。法律構成で細かいことを悩む前に申し立てて話し合いに入ることで、迅速な解決の道が見つかることもあります。

 ぜひ、調停制度をご活用下さい。

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