法テラスについて(弁護士 牧野 丘)

弁護士 牧野 丘

 法律扶助という制度があります。弁護士など法律の専門家の助力を求めている人々に、その費用を立て替えるサービスなどを行う仕組みです。我が国でこれを担うのが日本司法支援センター(法テラス)という独立行政法人(国からは独立しているが国が財政負担をする組織)です。

 私は、この4月から法テラス埼玉地方事務所の民事担当副所長に就きました。資力のあるなしに関わらず、あまねく法律による保護を受けられる社会は、平和で正義が実現される社会のための必要条件のひとつだろうと思います。市民のために税金を使うなら、こういう所にも使われるべきであろう、と考えてきました。以前は、法律扶助協会という言わば民間組織がこれを担ってきましたが、平成19年に廃止され、現在は、この形で事業の拡大が進められています。特に埼玉では、相談件数のみならず、援助件数(弁護士たち法律家が事件として受任し法テラスが助力をした件数)が年々大幅に増大しており、これまでの仕組みとは少々違う地平を切り開きつつあるように見受けられます(その事は別の所でぜひお話ししたい)。

 副所長と言っても非常勤ですから、さほどの権限があるわけではなく、職員の皆さんと弁護士・弁護士会等との間で調整事をこなすのが主な仕事のようですが、職員の皆さんが、「あまねく市民に法的サービスを」という法テラスの理念の実現を胸に(そんな肩肘張ってはいないか・・・)とても高い士気を持っている事を感じています。職員の皆さんの「立ち位置」は、「弁護士と市民の間」というあたりで、必ずしもいつでも従来の弁護士たちの発想と同じではないのですが、私としてはその調整を図りつつ、埼玉の法律のプロの皆さんにそのあたりの理解を深めていただきつつ、よりいっそう法テラスの理念を市民本位・民間本意で深めていくための一助となるのが仕事かな、と考えているところです。しばらくはおとなしくしてるつもりですが。

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