先日、演劇集団円の舞台「コウセイネン」を観た。傷害事件を起こし実刑となった1人の青年が、仮釈放後、社会復帰の支えとなる協力雇用主や保護司との関わりの中で更生を目指す物語だ。彼を応援する人たちの心は慈悲深くて温かいが、同僚や家族、社会から彼に向けられる心ない言葉に翻弄され、犯罪被害者の苦しみや処罰感情に触れ、自分は幸せに生きる価値などないと絶望する。
刑事事件をやっていると、担当する被告人が実刑になってしまうケースもままある。弁護人としての関わりは判決で終了するため、刑務所に行った後のことを知る機会はほとんどないが、彼らにとっては仮釈放後が本当の勝負なのだということを改めて考えさせられた。
日本は先進国でもトップクラスの再犯率で、約2人に1人が再び犯罪に手を染める。刑務所から出てきた人たちに対する社会の目は冷たく、非人道的な扱いを受けることも多い。社会に馴染めない結果、再び犯罪を繰り返すという負の連鎖から抜け出せない。池袋暴走事故の被害者遺族松永さんは、加害者の死亡を受けて「彼が僕の再発防止に対する思いに応えてくれたから、怒りとか憎しみだけじゃない感情で生きていけるきっかけを作ってくれた。そういう意味では感謝はしている」とコメントした。 罪を憎んで人を憎まず。犯罪を減らすためには、社会がまず変わっていかなくてはならない。私も、判決までの短い間であっても、彼らの抱える問題に向き合い、再犯に至らないようなサポートを目指したい。
(事務所ニュース・2025年新年号掲載)

