2025年4月、日本で暮らす、あるクルド人青年からお話しをうかがいました。青年は小学生の頃に来日し、日本語が全く分からないなかで、サッカーを通じて日本語を学び、プロのサッカー選手になる夢がありました。しかし、父親が入管に収容され、誰も遊んでくれなくなったこと、入管では、仮放免中なので、サッカーチームに入ることは就職にあたるので不可能と言われたこと、高校に入り、一生懸命勉強しても、入管でどんなに頑張っても無理だと言われ、サッカー選手になる夢を諦めたこと、それでも日本を第2の母国だと思っていることなどを語ってくれました。
その後、青年家族は父親も含め在留資格を得ました。入管の職員から在留カードを手渡された青年は、信じられず、夜中、真っ暗な部屋の中でスマホのライトで在留カードを何度も見返しました。母親はうれしすぎて食事も喉を通りませんでした。今では埼玉県外に自由に移動でき、アルバイトもできるようになりました。弟たちがサッカー選手になる夢を諦めなくても良くなったことが一番嬉しいと言います。現在、サッカーチームを作り、クルドの子どもたちだけでなく、日本の子どもたちも参加しています。しかし、その子どもたちにも嫌がらせがあります。
青年は、将来、国連の職員として働きたいと素晴らしい希望を語ってくれました。
埼玉県川口市・蕨市で暮らすクルド人は約2000人。多くのクルド人は、私たちと同じで日々懸命生きています。しかし、クルド人を悪者だと一括りにして、日本から追い出そうとする差別的言動が拡がっています。7月20日の参議院選挙に向けて、根拠のない排外主義を掲げて得票を伸ばす政党が出ないよう注視が必要です。
弁護士 伊須慎一郎
(事務所ニュース・2025年夏号掲載)

