法テラスにいて考えたこと(弁護士 牧野 丘)

弁護士 牧野 丘

いま、法テラス埼玉の副所長の任にあります。主に法律扶助が担当です。この仕事をしていると、まだまだ弁護士などの法律家が社会の需要に応えきれていないことを知ります。確かに弁護士人口は増大の一途で、新人弁護士の就職難は、社会問題のひとつとも言えるのですが、たとえば、昨年の法律扶助の利用件数。埼玉県内で法律扶助制度を利用して弁護士等に委任をした件数が4500件。これに対し、神奈川県では7100件。人口は神奈川の900万に対し埼玉は710万ですが、人口差では説明できない大きな扶助件数差があります。埼玉の方が平和だというのであれば、よいのですが、たぶんそうではなく、弁護士の数による差ではないか、と考えられます。神奈川には埼玉の倍の数の弁護士がいるのです。僅か1つの指標で断定的な事を語るわけではないのですが、もしかしたら神奈川に比べて埼玉では、法的救済が必要なケースでも弁護士に行き着いていない事がたくさんあるのではないか、と想像されます。

体に痛みを感じれば、何科かはともかくお医者さんを訪ねます。ですが、困りごとを感じたとき、いったいどこを訪ねたらよいのかが分かりません。弁護士は法律問題の解決のプロですが、これが法律問題なのかどうなのか、の判断は、ある種専門的です。困っている人の側で判断しなければ弁護士のもとにすら行き着かないという社会は、まだまだ人に優しい社会とは言えません。

当事務所では、法律の問題かどうかに関わらず、どんな相談でもお寄せいただき、利用者目線で大勢の弁護士・スタッフの知恵を結集し、適切な解決への糸口へご案内できるように考えています。それが事務所始まって以来の当事務所の基本的スタンスなのですから。


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