あきらめず粘り強く現場での取組を続けること(弁護士 猪股 正)

弁護士 猪股 正

事務所40周年の長い歴史の一コマ。4年前、派遣切りの嵐が吹き荒れ、リーマンショックがあった2008年。私たちは、12月24日、全国で連携して年越し電話相談会を実施した。埼玉では、埼玉総合法律事務所の会議室に、臨時電話を10回線設置した。会議室は、参加した弁護士、司法書士、社会福祉士、労働組合関係者などで埋め尽くされた。スタートから相談が相次ぎ、夜には、会議室に、テレビ朝日ニュースステーションのカメラが入った。「派遣で切られた」「所持金が尽きかけている」「住まいを失った」といった追い詰められた人たちからの相談が殺到し、電話に対応する弁護士らの姿とともに、全国に放映された。午前零時の相談会終了まで、殺到する電話の悲鳴のような音が鳴り響き、会議室は修羅場のようだった。膨大な数の人が生死の淵をさまよっていることを実感し、貧困と格差を拡大させた構造改革政策に対する怒りをあらたにした日だった。その数日後、日比谷の年越し派遣村の取組へと突入した。

あれから4年。振り返れば、一部の富裕層に富が集中する一方で、貧困率は過去最悪、貧困の要因である労働分野での非正規雇用への置き換えの流れも変わらず、残念ながら、貧困と格差の拡大に歯止めはかからなかった。そして、年末の大事な時期に、政治は、総選挙へと走り、生活の困難を抱えた人の年末対策は置き去りになっている。私たちは、年末、再び、この事務所の会議室に臨時電話を設置し、「明るい正月を!全国一斉 年越し電話相談会」を行う。

そして、年が明けて2013年も、みんなが人間らしく働き生活できる明るい社会になるよう、現場での取組を、あきらめず、粘り強く続けたい。


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