改正臓器移植法施行・・・ あなたならどうしますか?(弁護士 牧野 丘)

弁護士 牧野 丘

 7月17日に改正臓器移植法が施行されました。丁度1年前、「脳死も人の死」などと大きく報道されました。それまでは、脳死状態の人から心臓など臓器を取り出せるのは、死後の移植を承知する意思を生前に書面で表明している人からだけとされていました。これが改正され、移植の意思を生前に表明していない人の臓器も、家族の承諾があれば、脳死段階で取り出せるようになりました。

 これまで人の「死」は心臓停止などで判断されてきました。脳死はまだ心臓が止まる前に脳全体の機能が失われた状態のことで、心臓などの臓器は、この時点でしか移植することができません。

 今回の改正は、15歳未満の子の移植も可能にするなど、臓器移植の範囲を拡大することに目的があります。この改正によって、一般に、脳死が人の死だと法律で定められたと断ずるのはどうか、とは思いますが、「死」の意味について社会の認識が変化をしていくきっかけにはなっていくことでしょう。

 さて、想像してみてください。あなたの未成年の娘さんが、突然の交通事故で脳死状態になってしまいました。急な出来事に胸かきむしられんばかりの悲しみに襲われているそのさなか、まだ心臓は鼓動を続け、体温も残っている娘さんの心臓を、移植のために取り出したい、と求められました。無論、移植によって救われる生命は間違いなく存在する。あなたは移植に承諾しますか?断りますか?移植して本当に良かった、と言ってくれるはずの娘さんは、もう何も語ってはくれません。残された家族の間で意見が割れるかもしれない。あなたに将来にわたる苦しみを残すかもしれないのです。いかがでしょう、ご家族で話し合ってみませんか。また、色々な意見を参考にしつつ、自分のことは自分で決める、自分が死亡したときはどうするか、その意思を明確に持っていただきたい、と思います。

 私は・・・・まだ考えあぐねています。

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