もし、日本が100人の村だったら。(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

 もし、日本が100人の村だったら。

 10人が農家で、30人が工場勤め、60人がサービス会社に勤めています。

 工場では国際競争に勝つためという理由で、長時間・過密労働、30人で40人分の製品を生産。工場経営者は、40人分生産した物の内10人分を外国で売り、従業員には30人分の給料しか払わず大儲け。

 ところが、世界が不況になり、日本が海外に売っていた工業製品が売れなりました。そこで工場経営者は、7人の労働者のクビを切り、生産量を国内で売れる分だけの約30人分に減らすことにしました。

 ところが国内では?

 生産量は、農業、工業、サービス業を合わせた約100人分ですが、買えるのは、給料をもらっている93人に過ぎません。生産しても買ってくれる人が少ないのですから、ものの値段は下がって、螺旋状に不況が深まって・・・。

 年末にかけて派遣労働者、期間労働者の契約解除問題が相次いでいる。故郷を離れ、会社の寮に住んで生活をしていた労働者が、年越しを前に、仕事を奪われ、年末の内に、あるいは年を越したら住まいさえ奪われる。これに対して、国は何ら有効な手段を執ろうとしない。

 派遣、非正規労働問題は、貧困にかかわる人権問題です。同時に国の経済全体にも関わり、私たち全てに関わる問題でもあります。

 全体像をしっかり見る目を持って仕事に取り組んでいきたいと思います。

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