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コラム-髙木太郎弁護士

危険な無策(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

 トランプ大統領の来日で、日米首脳の間で北朝鮮政策に関し「すべての選択肢がテーブルの上にある」ことが再確認された。アメリカが北朝鮮の核攻撃施設を先制攻撃することもありうるのだ。

 米統合参謀本部が「北朝鮮の核兵器を完全に破壊する唯一の方法は陸上侵攻」であることを認めた。地上戦しかなければ、アメリカの圧倒的戦力を投入しても制圧に数日以上かかることは明らかである。この間に、北朝鮮は断末魔の反撃で核を含むミサイルをソウル、東京に発射するだろう。迎撃ミサイルは半分以下の確率でしか北朝鮮のミサイルを撃ち落とせない。地上戦で多数の死者が出るばかりではなく数百万の市民が被害を被ることになる。これを防ぐ手立てはない。さらに、緊張関係が高まれば、偶発的な事件から戦闘が始まり同様の展開になることもありうる。

 だからこそ、米軍人も含めて、交渉が大事だと繰り返しているのだが、日米首脳は聞く耳を持たない。米首脳は世論対策と武器売り込みか。強いことを言っていれば支持する人が一定数いる。危機をあおって武器を売り込めば軍需産業の支持もさらに得られる。日首脳は・・・。強さを誇示する世論対策、そして世論の支持が細ってきた今、米のポチでいることが生き残りの唯一の方法だからか。

 先制攻撃、偶発事態が起こらないことを祈る。

「働き方改革実行計画」を批判する(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

安倍首相は嘘つきである。つくづくそう感じる。TPPで「重要5品目は必ず守る」などと選挙演説していたときから胡散臭いと思っていたが、今から考えると、そんな嘘はまだ序の口であった(その程度の嘘なら従来の自民党政治家も言っていた。)。
しかし、安保法制で従来の憲法解釈を変え、共謀罪をテロ対策と言いくるめ、「私や妻が関与していたら総理はおろか、国会議員も辞める」と大見得を切った「もり・かけ」問題では、事実を隠して幕引きを図る、という態度を見るにつけ、この人の言うことは一切信用できない、と思う。

そんな訳で、安倍政権が推進する「働き方改革実行計画」(2017年3月28日)も信用してはいけない。「同一労働同一賃金」や「長時間労働の是正」など耳障りのいいことを羅列するが、実際にそれを実現する項目は、看板倒れで、実効性に乏しいものが多い。
例えば、長時間労働の是正は、青天井の長時間労働に上限を設けるとしているが、現在厚生労働省が定めている「時間外労働の限度に関する基準」の月45時間、年間360時間を大きく後退させる、月100時間(未満)、年間960時間をその上限にしようとしているのである。基準に従っているレベルの企業にとっては、むしろ長時間労働推進になる可能性すらある。
これに加えて裁量労働制の拡大(営業職や課長クラスの管理職に残業代を払わなくていい制度)、高度プロフェッショナル制度(=ホワイトカラーエグゼンプション、ホワイトカラーの一定年収以上の人の残業規制を外す制度)といった、「残業させ放題」制度の導入が予定されているのである。これまた「嘘つき」と言うしかない。

安倍政権の下で、2016年8月「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」という懇談会が行われている。ここでは、最初に、徳島県上勝町の「葉っぱビジネス」の成功や1983年の米国のベンチャー企業の事例が取り上げられている。
そして、これらの事例を念頭において、2035年には、「個人が」「企業や経営者などとの対等な契約」によって、「自律的に活動できる社会に大きく変わっていることだろう。」と結ばれている。(安倍政権が言っていることを加味すると)個人と企業は対等だから、労働法の規制をどんどん外していこうという議論につなげる意図が見え見えである。

しかし、「葉っぱビジネス」の成功は、インターネットの活用(1)と葉っぱに着目した商売がたまたまあたったこと(2)による。また、米国のベンチャー企業の例は、インターネットの活用(1)と、類まれなる才能の集まりであった(3)からこそ実現した例だ。いずれも(2)と(3)がなければ「企業や経営者との対等な契約」は実現しない。そして通常、(2)や(3)はない。残るは(1)のみだ。いつでもどこでも働ける(働かされる)ということだけが残るに過ぎない。ここでも誤魔化している。

ああ、やっぱり安倍さんは嘘つきだ、総理が嘘つきの国が長続きするはずがない、早急に安倍さんにはご退場いただくしかない、と思うのである。

私にとっての弁護士の仕事(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

離婚や相続など、家庭内の紛争が問題になる事件をお受けすることが多い。
父が残してくれた遺産を母と子供3人で分け合う時に、子供のころは家族で仲良く暮らしていたはずなのに、遺産分割になるともめることがなる。
つい、我が家は大丈夫かと思ってしまうので、遺産は残さないことにしている(残る気遣いもない。)。
しかし、目の前で起きている紛争をみると、兄弟間では、遺産が大きくても小さくても、「兄より少ない」といった比較が出てくると、紛争につながってしまうようだ。

この点は、境界争いに似ている。わずか5センチでももめることがある。
価値にすると数十万円、弁護士費用の方が高い、と言っても、「それでは隣が得してうちが損する」という方向に思考が行くと、譲れないようだ。そんな境界争いは受けないことにしている。

弁護士にとって大事なことは、その人(依頼者)にとって、将来にわたって何が大事か、何が優先されるべきか、を考え、その人も、そう考えられるように、寄り添っていくことだと思って仕事をしている。

ベルギーに行ってきました(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

成田から隣国のオランダまで11時間余り。オランダからベルギーへは国内旅行の感覚です。飛行時間30分ほど。
九州より少し狭い国土に1100万人。首都ブリュッセルは人口115万人程度。

ベルギーの空港では、迷彩服の国軍兵士が二人ひと組で警備。自動小銃がかなり異様です。テロの影響でしょうか。
空港から市内へは国鉄(なつかしい響き)で25分。切符はクレジットカードで購入する自動販売機のみ、改札もないので、右往左往しました。
ブリュッセル市内でも自動小銃の兵士。街中を歩く人は、アフリカ系、欧州系、中東系が各3分の1という感じ。

午後8時、まだ明るい中、シャッターの下りた中心街で軒下で野宿しようとする家族が多いのも驚きでした。
一方で、広場が多く、散歩し、くつろぎ、ビールを飲む人も多い。日曜日は商店は休み。平日でも午後6時に閉まるのは常識。コンビニがたまに午後8時か9時まで開いているとホッとします。
街歩きだけでも日本との違いにビックリ。あくせく働かないために何が必要か、ちょっと考えさせられました。

日本労働弁護団幹事長を退任しました(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

日本労働弁護団の幹事長を11月7日の水上での総会で退任しました。
2年間の任期でしたが、安倍内閣の労働法制「破壊」の動きと重なり、集会をやったり、国会に行ったりに明け暮れました。
中でも今年5月14日、日比谷野外音楽堂での集会、引き続く国会誓願デモに、労働3団体を含む多数の皆さんにご参加いただけたことは望外の喜びです。

労働時間法制に関しては、企業によって奪い取られた「生活時間」を取り戻すという観点からの運動をつくり、育メンならぬ育ボス(育児をする部下を積極的に応援する上司)プロジェクトの人たちとも関わり、企業内部から企業を変えるという手法とも連携ができることを実感しました。

派遣法は改悪されてしまいましたが、運動の過程で、野党各党の国会議員ともお話しができ、安保法制で実現されたような共闘が他の分野でもできることを実感しました。
また、派遣労働者の生の声を拾い上げることで、マスコミにも働きかけ、ともに必要な報道を実現するために動くこともできました。

私自身は、極めて元気で優秀な本部事務局の皆さんに引っ張られるように活動に参加してきただけでありますが、いろいろなことを学ばせていただきました。
限られた時間の中で、必要な処理を進めていく能力はかなり進歩したものと思っております。

「幹事長」は降りましたが、「闘争本部長」という大仰な役職をいただきましたので、引き続き、労働分野での運動にも関わっていくことになります。
あわせて、全国の観点でものを見る経験をさせていただいたことを他の分野の活動にも活かし、業務についても限られた時間をうまく使って精進して参ります。

これからもよろしくお願いします。

トリクルダウン(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

昨年の流行語大賞候補に、「トリクルダウン」という言葉がノミネートされました。
富裕層・大企業を儲けさせれば、やがてそのお零れがしたたり落ちて、日本全国豊かになるという考え方で、安倍首相の経済政策アベノミクスの基本はこの考え方です。
消費税増税で庶民から金を吸い上げ、法人税減税(恩恵を受けるのは大企業など利益を上げている企業のみ)で強者をさらに富ませるのもこれです。

アベノミクスは、労働分野では単なる規制破壊です。
労働者の命と健康と生活を守る規制を破壊すれば、企業が労働者を使いやすくなる、世界一活動しやすくなるとして、あらゆる労働分野での規制破壊が進められようとしました。

手始めにやられたのが、有期雇用の5年間での無期雇用への転換ルールを「専門的労働者等」には10年にする有期雇用特措法案、派遣期間の実質的な無期化を企てる労働者派遣法改悪案でした。
国会は自公が圧倒的多数ですから、早期成立すると思いました。

それでも、労働弁護団は、アベノミクスの破綻は近い将来必ず訪れるから、それまで頑張れば、改悪を阻止できるとして、全国に大運動を呼びかけました。
野党(民主、共産、社民)は一致して両法案に反対、労働組合もあらゆる組織が反対しました。
そして、2014年中の国会では派遣法改悪案は成立を阻止することができました。

さて、実際には、富裕層は利益を貯め込み、庶民の懐は温かくなりませんでした。アベノミクスの破綻は、2015年には誰の目にも明らかになるはずです。
安倍政権は、その前に、総選挙に打って出ました。結果は・・・。

労働弁護団幹事長職を今年11月の総会まで務めさせていただきます。
労働者の権利実現のために、昨年に引き続き、頑張ります。

火災保険金訴訟・最高裁へ(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

3年前から火災保険金請求の裁判に携わっています。
工場建物に3050万円、什器備品に900万円、保険会社の代理店の進めるままに保険に加入して、20年間保険金を払い続けてきた地方の小規模会社です。

ところが火災が起きたら、全焼なのに、火災保険会社は、「時価」で保険金を払うという法律の規定を楯に、保険金全額を支払おうとしないのです。

この「時価」には仕組みがあり、特に不動産については、通常の取引価格(交換価値)では20年も経過した建物だと値段も付かないので、「交換価値」ではなく「使用価値」を勘案して算定するというのが学説です。
保険会社は、契約締結時には、この「使用価値」を前提に建物を高く見積もり、それを基準に高い保険料も受け取り続けているのですから(しかも20年も!)、支払うときもこの「使用価値」に従って、支払いをすべきなのです。

ところが、若い裁判官が担当した地裁支部の判決はおろか、東京高裁の裁判官でさえ、「使用価値」で計算した保険会社の契約当初(わずか1年前)の建物評価を「高すぎる」と決めつけて、建物については約380万円、什器備品については約50万円という保険金しか認めませんでした。

今年は絶対最高裁で、この非常識な判断を覆します。

昨年11月に日本労働弁護団の幹事長に就任しました。
全国各地、地方の力を生かすとともに、30年先を見越したワークルール教育にも取り組んで行きたいと思います。
 

世界共通の働くルールづくりを(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

自民党安倍政権になってから、「解雇法制を緩和せよ」という議論がかまびすしい。
ジョブ型正社員、ホワイトカラーエグゼンプションなどである。
ジョブ型正社員とは、職種や勤務地を限定し、労働時間規制も(厳格に)する正社員のこと。こういう類型を作れば、これとは区別された従来型の正社員は、職種も勤務地も残業も限定がなくなってしまう。
ホワイトカラーエグゼンプションは、要するにホワイトカラーには残業代は払わないという話である。従前、残業代不払い法案として批判を浴びた話の焼き直しである。

働く人にしわ寄せが

さらに、派遣法の規制緩和も話題に上っている。
派遣業界から自民党への強力な働きかけがあるようで、ほんの1年前に僅かな規制強化が行われ、派遣法違反の場合に派遣先に直接雇用の申込をみなす条項(見なし条項)についてはまだ施行さえされていない(改正法成立後3年間の猶予期間=平成27年10月1日施行)のに、この「みなし条項」さえ廃止の対象になっているのである。

阿倍首相は、日本を世界で一番(大)企業の活動しやすい国にする、というが、世界中で企業誘致合戦を展開したら、国際的な大企業はいいだろうが、その分世界中の働く人々にしわ寄せがいくだけである。
国内での企業誘致合戦でせっかく誘致した企業に逃げられた例を見てもその行く末は明らかである。

世界中で共通した(働く)ルールの確立にこそ力をいれなければならないのである。

初心忘るべからず(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

事務所開設40周年ということで、自分の入所時の事務所ニュースを振り返ってみました。91年7月号です。新人挨拶で、弁護士になった動機について、「東京電力の思想差別事件で闘っている当事者の方からお話を聞いた際に、屈辱と大変な苦労のなかで、明るさを失わず闘っている姿に感動し、このような素敵な人と一緒に仕事をしたいと思った。」と書いていました。

今、3/11の原発事故で、被害にあった方々の損害賠償事件に携わっています。もし、東京電力が思想差別をせず、原発に批判的な社員の声もきちんと反映する会社であったなら、今日のような悲惨な事態は免れたのだろうと思います。

原子力の利権に群がる人たち、核兵器保持の可能性を残すために原子力に固執する人たち、そこから広告料をもらって原子力への批判が出来ないマスコミ、未だに原発0を阻止しようとしている人がいます。

歴史を逆転させないためには、誰が何をしたか、どうしてこうなったか忘れないことが大切です。僕はとても忘れっぽいのですが、誰が何をどうしてこうなったか、けして忘れず、歴史を逆戻りさせないように、しっかり、しっかり、見据えて、自分が何をしなければならないのか、自分の子どもに何を伝えなければならないのか、身近な人に何を伝えなければならないのか、考えて生きていきたいと思います。

嗚呼、花の応援団(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

出身高(熊本県立玉名高校)は、5月下旬の体育祭(応援合戦)が有名でテレビでも取り上げられます。
今年はTBSの土曜8時「ぶっちぎり」で6週にわたり特集されました。

全体を3つの団(赤、蒼、黄色。昔は4つ)に分けて、1,2年生が櫓に整列して座り、団長の演舞に合わせて、学生服(黒)・色タオル3色をあげさげし、120パターンもの人文字を描きます。

入学式から3週間。中学を卒業したばかりの田舎の子どもの目の前に、タンラン、ボンタンという出で立ちの3年生の応援団リーダーが現れ、「押忍、押忍」と大声で「気合いを入れ」させられます。
声が小さいと、「こえんこまかあ!(声が小さい)」と怒鳴りつけられ、ちょっと人より間違いが多いと「おまえ、まちがいすぎったい(お前、間違いすぎだぞ)!」と櫓から(ひきずり)おろされ、「個別指導」を受けることに。
そんなことを繰り返し、体育祭当日には、一糸乱れぬ人文字の演技が完成するのです。

体育祭が終わると、3年生は「怖い応援団」の演技を終えます。
1年生は、最初恐怖で凍り付き、次に人文字の完成に向けて集中し、最後はリーダーと共に泣く。特に1年生女子は、途中からリーダー病という病に罹ります。

全体主義を思わせる練習風景ですが、ケンカしたことのない子どもは限度を知らない、なんてことを考えると、いい経験なのかも知れません。

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