【コラム】会長就任にあたって(弁護士 髙木太郎)

この4月から埼玉弁護士会の会長に就任しました。

会長になって、会活動の持続可能性ということをより強く意識するようになりました。 弁護士会の取り組む人権救済活動などは非常に重要ですが、いつまでも手弁当では続きません。例えば、三〇年以上前、サラ金被害が顕著だった頃、これに取り組む弁護士はごく一部で「借金返せ、目んたま売れ」みたいな暴力団まがいの取り立てとそれこそ命がけで闘っていました。その後、裁判や様々な運動を通じて、それに取り組む弁護士にも報酬が入るようになり、多くの弁護士が取り組むようになり(若干行き過ぎの法律事務所もありますが)、最終的には高金利を是正するというところまで行きました。今は貧困問題など弁護士が身を削って取り組んでいますが、やがては手弁当でなく、多くの弁護士が仕事として取り組める方向にしなければ、根本的な解決にはつながりません。そのためには、それまでの間、それに取り組む弁護士を輩出し続け、運動を継続させなければなりません。弁護士会はその一助となる必要があります。

また、埼玉弁護士会は「スクラム相談」という取組をしています。これは、法律相談の中には、例えば中小企業の事業承継など、弁護士だけでなく税理士やほかの専門職も一緒に取り組まないと解決しない事案があり、そういう問題に対して、専門職(弁護士、税理士、司法書士などなど)がスクラムを組んで取り組む相談です。まだ始めたばかりで、知名度も低く、相談件数が伸び悩んでいます。しかし、この苦しい時期に継続することが、将来の発展につながります。弁護士会としての頑張りどころです。

会長は日弁連の理事や関弁連(東京高裁管内の一都十県の弁護士会で構成)の常務理事も兼務しており、様々な情報と刺激を得て帰り、埼玉弁護士会の活動に反映させる役割も負っています。すてきな刺激も多いのですが、頭がなかなか追いつきません。

ちょうど還暦を迎える年であり、若干「くたびれ」てはおりますが、もうしばらくは頑張ろうと思います。

弁護士 髙木太郎

(事務所ニュース・2021年夏号掲載)

 

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