コロナ禍の下での労働相談・法律相談(弁護士 高木 太郎)

電話や対面で受ける相談にもコロナ禍の影響が出ている。

労働相談の具体例で言えば、①舞台やイベント関係の仕事をフリーランスで行っているが、全く仕事が入らなくなった、②コロナの問題で就職したばかりの事業所が閉鎖されたが、自己都合扱いとされ、解雇予告手当も払ってもらえない、③運送業だがコロナの影響で仕事が減ったとしていきなり給料を半額にすると言われた、などが寄せられている。

しかし、その多くが、弁護士への依頼には結びつかない。その理由は、誤解を恐れずに一言でいえば「裁判で争っている余裕がない」ということである。話を聞いているうちに、まず、行うべきは、明日の収入を確保することが必要ということになり、生活保護を初めとする生活保障のアドバイスがまず必要となる事案が少なくない。

6月に実施された埼玉土建の「コロナに負けるな、何でも相談会」においては、相談件数の大半は、持続化給付金(昨年同月と比較して売上が半減している月があれば、最大200万円、100万円を給付する制度)の受給要件、支給手続に関するものであった。まずは、当面の資金が必要であり、そして、雇用調整助成金(従業員の雇用を維持するために事業者に補助をする制度)等の難しい手続ではなく、比較的請求が簡易な持続化給付金が必要とされていたのである。

緊急事態には、金を迅速に出せる行政・政治の役割がとても大事で、現場で相談を受ける私たちは、現場の実態を政治に・行政に届けることが必要なのだと痛感した。その実態に対応しない政治なら、変えなければならない、ということは当然である。

弁護士 高木 太郎

 

(事務所ニュース・2020夏号掲載)

 

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