自動運転に思う。(弁護士 高木 太郎)

シェアリングエコノミーに関する話を聞く機会があった。①ウーバーのような配車サービスのプラットホーム、②自動運転の技術進歩、③車は所有しなくても良いと言う意識変化。これらが相まって、10年、20年後には、車は単なる移動の手段となり、人は車を所有せず、スマホで呼ぶと自動運転のレンタルカーが配車される。愛車を所有する人は、今で言う手動の一眼レフカメラを愛用する趣味人に限られるようになると言うのである。私の感覚では①②は実現しても③は変わらないと思ったが、若い世代に話を聞くと、車は所有しなくても良いと言うのである。

①のウーバーは、個人の所有車両をウーバーの支配するネット機構を通じて配車するシステムである。運転手は実態は労働者なのに、労働法の保護が受けられないとして、導入された欧米では激しい批判にさらされ「運転手は労働者」とする裁判なども出ている(日本では白タク規制で実現していない)。自動運転への変化の過程で人間をモノ扱いしていくのだから、猛烈な搾取になるのは当然の結果か。妙なところに納得しつつ、今年も「人間の権利」のために頑張ろうと思う。

弁護士 高木 太郎

 

(事務所ニュース・2020新年号掲載)

 

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