【コラム】大河ドラマの楽しみ(弁護士高木太郎)

母校の先輩・金栗四三(日本マラソン界の父)を描いた「いだてん」以来、大河ドラマにはまっている。昨年は「鎌倉殿の13人」を欠かさず観た。源頼朝とともに鎌倉政権を打ち立てた北条義時(後の二代執権)が他の御家人を排除して北条氏の支配を確立するまでを描いたものだ。

鎌倉時代は、中学の時「武家政治の始まり」として習った記憶だが、天皇家永続のきっかけだと思っている。

日本では、5,6世紀ごろからヤマト政権の支配が確立し、その後天皇家は曲がりなりにも現代まで続いている。例えば、中国では、漢があり三国時代があり、隋、唐、宋、明、清と続くが、それぞれ、それ以前の政権は滅んできた。どこでもそうだ。日本で天皇家が永らえたのは、適度な広さの島国、大陸からの距離(ドーバー海峡のように近くない)、温帯であることなど、いろいろな条件が重なったからだが、そのきっかけは鎌倉時代だと思う。

鎌倉殿」で、脚本の三谷幸喜は、後白河法皇(西田敏行)や後鳥羽上皇(尾上松也)をバリバリの俗物、むき出しの権力者として描いたが、この時代の天皇家の人々なら、実際そうだったのだろう。

 北条氏の鎌倉政権は、天皇家を滅ぼす道を選ばず、権力の正当化根拠として存続させる道を選んだ(選ばざるを得なかった?)。そして、それが一つの形となり、室町、江戸と受け継がれた。こんな風に考えながら、大河ドラマを観ると、また、別の楽しみ方ができる。

弁護士 高木 太郎

(事務所ニュース・2023年新年号掲載)

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