【コラム】最近、つらつらと(弁護士 髙木太郎)

赤ちゃんを抱っこするお父さん

長女の夫は、仕事から帰ると、1歳の娘をずっと抱いて面倒を見ている。
次女の夫は、送別会に2歳の息子を連れてベビーカーででかける。
私たちの世代は口では男女平等を言っても、彼らにはとてもかなわない。
80年代、ゲイの人をネタにしたギャグに何の抵抗もなく笑っていた。
今となってはそんな自分を恥じいるしかないが、現代の若者はおそらく同じギャグを見たら嫌悪感を持つだけだろう。
人々の人権感覚は確実に進歩しているが、それには時間がかかる。
古い時代の感覚が沁みついた人間が中心にいる間は、抜本的な改革は期待できない。
新しい時代を切り開くには、新しい人権感覚の中で生まれ育った人が中心を担うようになる必要がある。

少数者の人権を浸透させる運動は、多数者である労働者がごく少数の搾取する側の資本家と戦うやりかたとは少し違うように思う。
徹底的に議論して論破するのではなく、共感を広げる方法によってしか実現できないように思う。
新しい運動を担えるのは、新しい感覚の人たちだ。
古い感覚がどこかに沁みついている人間は、それを邪魔しないことがまずは必要だ。

余人をもって代えがたい、と思われる人さえ、いずれは次に交代をしていかなければならない。
そのタイミングを間違えると、組織や運動の大きな後退を招く。最近、そんなことをつらつらと考えている。

弁護士 髙木 太郎

(事務所ニュース・2023年夏号掲載)

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