【コラム】「丸八」労働事件(弁護士谷川 生子)

布団のマルハチ」で知られる丸八ホールディングスと、その子会社、ハッチーニ丸八の労働事件に携わっています。ハッチーニ丸八の労働者は、布団等の訪問販売業務に従事してきましたが、あるとき業務委託契約に切り替えられ、長年にわたり、会社から事務手数料、運営手数料等、様々な経費を収入から控除されてきました。経費を控除される結果、毎月の手取り収入を0円とされたり、マイナス分を翌月につけ回されるなど、生活を維持することが難しい状況に陥っています。働き方は正社員だった頃と変わらないにも関わらず、経費のみ負担させられるというのは、偽装請負に他なりません。

当事者は、労働組合を結成し、偽装請負を止めさせ、労働者としての権利を確立するために、丸八ホールディングスに団体交渉を求めましたが拒否され、埼玉県労働委員会に救済申立を行いました。また、業務委託契約は公序良俗に反し無効であることなどを理由として、過去に控除された経費相当額の返還を求め、さいたま地方裁判所に提訴しました。救済申立事件においては、労働組合法上の労働者性、経費返還請求事件においては、労働基準法上の労働者性がそれぞれ争点となっています。
これから人証を含め立証活動が本格化しますので、弁護団の一員として注力したいと思います。

弁護士 谷川生子

(事務所ニュース・2021年夏号掲載)

 

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