コラムコラム-佐渡島啓弁護士

朝日新聞2009年1月26日夕刊掲載「働く人の法律相談」-有期雇用の中途解約(下)-(弁護士 佐渡島 啓)

弁護士 佐渡島 啓

 減産などを理由に、派遣先が派遣会社との派遣契約を中途で解除し、さらに派遣会社も「新しい派遣先が見つからない」などとして契約期間が残っているのに派遣社員を解雇する、いわゆる「派遣切り」が相次いでいます。派遣社員は、解雇を受け入れるしかないのでしょうか。

 そもそも派遣先は、正当な理由なく派遣契約を中途解約できません(労働者派遣法27条)。ですから、派遣会社は派遣先からの中途解約を簡単に受け入れるべきではないのです。厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」でも、派遣契約を中途解除する場合には、関連会社での就業あっせんをするなど、派遣先が派遣社員のために新たな就業機会の確保を図るよう求めています。

 残念ながら、この指針には強制力がありません。安易な中途解約が大量に起きているため、指針の内容を罰則付きの法律に格上げしてはどうか、という意見も出ています。

 また、派遣会社が派遣先からの中途解約に応じたとしても、派遣社員との雇用契約は期間満了まで続いています。派遣会社が雇用期間が終わる前に派遣社員を解雇するのは、「やむを得ない事由」がない限り無効です(労働契約法17条)。

 雇用期間の定めのない労働者に対する雇用でさえ、「合理的で社会通念上相当な理由が必要」(同16条)です。ましてや期間の定めがある雇用契約の場合、期間満了前の解雇は、格段にハードルが高いのです。

 本来無効な解雇が行われる場合、契約満了までの賃金は全額保証されると考えられるべきです。

 08年12月、厚労省は「労働者派遣契約の中途解除等への対応について」という通達を、都道府県の労働局長に出しました。通達では、派遣先に対して安易な中途解除をしないよう求めていますし、派遣先からの中途解除を契機に派遣会社が派遣社員を解雇するような場合は、法律を守るよう指導を徹底することになっています。

 「不当な解雇だ」と思われる場合は、労働基準監督署、弁護士などにご相談されることをお勧めします。

●ここがツボ●

・正当な理由のない派遣先の中途解除は無効
・派遣元の解雇も正当な理由がなければ無効
・解雇無効なら契約期間中の賃金は請求可能

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