「日本はひとつ」???の真っ赤な嘘(弁護士 伊須 慎一郎)

弁護士 伊須 慎一郎

 2011年3月11日の東日本大震災は2万人を大幅に超える死者・行方不明者を出しました。地震と津波により破壊された東京電力・福島第1原発は冷温停止の安定的状態に至る目処すら立っていません。将来的な放射線による健康被害のおそれが日増しに強くなり、子どもが危険にさらされ続けるなか、原発で働く労働者は原発を安定化させるため高線量の放射線を浴びながら懸命に働いています。それなのに原発を維持しようとする財界は何を考えているのでしょうか?

 日本経済団体連合会は、厚生労働省に対し、「東日本大震災にかかる規制改革要望」として、雇用問題に関して次のような要望を行っています。

 ①偽装請負の適法化(これは、かつてキヤノンの御手洗日本経団連元会長が偽装請負をねじ曲げて適法化しようとして批判されましたが、懲りることなくまた繰り返しています)

 ②派遣を禁止された建設業務への派遣の解禁(被災地の家屋の解体や撤去作業は建物の建築を目的としていないから禁止された建設業務に該当しないと身勝手な解釈をしていますが、被災者の方の中には建物の再築を望まれている方もいるでしょうし、そもそも建設工事への派遣が使用者の派遣労働者に対する安全管理を蔑ろにするリスクを全く考えていません)

 ③「被災地のみならずオールジャパンで一体となって復興を実現するためには派遣労働者の就業機会を拡大させるべきで」あるとして、「労働者派遣法における専門26業務に関する弾力的運用」せよと違法な業務偽装を見逃すように求めています。まだまだ労働者を安く使い捨てにする企みが満載されています。安くて使い捨ての仕事があるだけでもありがたく思えという傲慢な考えが剥き出しです。

 日本経団連さん、「日本はひとつ」と美辞麗句のもと、新たな労働者搾取を行うことを即刻やめてください。

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