ドイツの知の巨人ゲーテは「もっと光を!(Mehr Licht!)」と最期に述べたといわれます。人間は光を求める生き物であり、光の射すほうへ進んでいく習性を持っている。・・・そして、それは観葉植物もまた同様です。
適度に日光に当てたほうがよいだろう、しかし直射日光に長時間当ててはよくないだろうという判断の下、昨年は観葉植物を小刻みに動かし、事務所に出ると光にあて、外出するときには日陰に移すという過保護な対応をしてきました。観葉植物の場所で僕の在席がわかる状態です。
そうしていると、如実に植物が光の射す方向に伸びていくことが分かります。できるだけいい感じに成長させたい。そして、あまり光にあてなかった時期に、光を求めて一本だけ長くなった茎と葉を切り落としてバランスを整えたいという衝動にかられます。
しかし、そんなことをしていいのか。それでは出る杭を打つことになってしまう。
小澤征爾氏の師である齋藤秀雄氏は、教育論を語る上で、集団においては上手な者を伸ばすのではなく、ダメな者をいかに引き上げるかが重要だと語っていたそうです。出る杭を打つのではなく、全体を引き上げる形でバランスが整うように、今年はより日の当たる箇所を小刻みに調整し、芸術性を追い求めていきたいと考えています。
ただ、僕には、過剰な水やりや剪定により、手をかければかけるほど、植物の元気を奪ってきたというシザーハンズのような歴史があります。なんとか大きく育っていってくれるといいのですが・・・。
なお、事務所ニュースで観葉植物について書き始めるようになってから、仕事はしているのか?と心配の声をいただくようになっています。今年も頑張ります!
(事務所ニュース・2025年新年号掲載)