浦和駅東口前地通り商店街(弁護士 牧野 丘)

弁護士 牧野 丘

 浦和駅東口から徒歩5分くらいの所に、前地通り商店街という通りがあります。住宅街の中にあるこの路地は、軽自動車1台でいっぱいな細道です。私が生まれ育ったのはこのすぐ近所で、ここにはお肉屋さん、金物屋、郵便局、かき氷屋さん、八百屋、駄菓子屋に風呂桶屋・・・ちょっと路地に入るとかよっていた銭湯がありました。夕方になると母に言われて籐の買い物かごを持ち、お店を回ってお使いに行かされるのが日課でした。どの店のおばちゃんも顔見知り。郵便局のドアを開けるとインクの臭いがプンと来て、幼い鼻をひんまげていました。最近は飲食店などができていますが、今でも「昭和」を感じさせてくれるほっこりする道です。

 今思えばあの頃は、その日に必要な物だけを買いにでかけていました。スーパーで買いだめなど思いもよらない。私たちの生活はそれで十分に足りていたのだな、と思います。それに比べ大量生産と大量消費によって動いている今の世の中は、結局、余った物を捨てることによって成り立っているのではないか、と。脱原発を語ると生活を切り下げられるのか、それで日本の経済は成り立つのか、と感情的な反論が来ますが、余らせない、捨てない生活こそが人間を幸せにする生活なのではないかと。不要な物を生産しないと成り立たない世の中はどこかが間違っている。必要な時に必要な物がすぐ揃う、それで十分に幸せだと思うのです。どこかでスイッチの切り替えが必要なのです。

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