埼玉総合法律事務所

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コラム-谷川生子弁護士

スイッチオン(弁護士 谷川 生子)

弁護士 谷川 生子

好きな言葉は、と尋ねられ、数年前のネパール旅行を思い出しました。
閉塞感で一杯になり、突如旅に出たのですが、ちょうど里帰りしていた知り合いのネパール人に、現地の様々な名所を連れ回してもらいました。
ネパールが大地震に見舞われる前のことです。

ここからエベレスト山頂が見えるよ、と言われて目をこらしましたが、なかなか探せず、
あれだよ、と指さされたのは目線の遙か上方でした。
人を寄せ付けない、孤高の存在に、ただ畏怖のような気持を抱いたことを憶えています。

さて「Don’t worry,be happy!」というのは私が旅の間中、同行のネパール人からかけられていた言葉です(鬱と思われたのでしょうか)。
特に現地で流行っていたわけでもない、挨拶代わりの言葉かもしれませんが、
繰り返し言われると、不思議とリラックスできるような、本来の自分を取り戻せるような気持になったものです。

まさか相談者に「クヨクヨしないで楽しんで!」と言うわけにはいきませんが、
思考停止しそうになったときには、いつしか頭の中で唱えています。
皆さんにもスイッチオンの秘密の言葉がありますか?

ワークルール(弁護士 谷川 生子)

埼玉総合法律事務所 谷川生子

多くの人にとって、仕事が生活の基礎であることはいうまでもありません。働く上での基本的なルールを知っておくことは、自分の生活を守ることにつながります。「パワハラ」「セクハラ」「ブラック企業」などの言葉は大分定着しているようですが、それでも、基本的なルールを知らずにいる人はまだまだ多いようです。

勤務先の備品を誤って壊した損害賠償として、毎月一定額を給与から天引きされることを当然のように受け止めている労働者に出会うと(しかも、本来もらえるはずの給料自体が低い。)、もう少しワークルールを知る機会を広げる必要性を感じます。

それは、使用者側においてもしかりで、特に従業員の少ない会社などは、使用者がルールを知らずに前述のような給与の天引きを行っていたりします。学校教育の中で、ワークルールに関する学習が本格的に取り入れられれば良いですが、浸透しているとはいえません。

教育現場の人々は、卒業生がブラックバイトやブラック企業に就職してしまい、心身共に疲弊してしまうという事態に悩んだりもしています。

埼玉弁護士会では、ワークルール教育の取り組みの一環として、弁護士が講師となって、労働法制に関する学習会を開催しています。
これまでに、地域の大学や高校で行われた実績があります。今後もさらに利用が増えればと思います。

では、知識を得たらその次は?

仮に自分が職場で不当な待遇を受けていることに気づいたとして、その後はどうしたらよいでしょうか。
パワハラやセクハラの場合、社内に相談窓口がある場合もあります。あるいは労働組合に相談することもあり得ます。それでは実効性のない場合、労働基準監督署での相談、弁護士会や法テラスの弁護士による法律相談、労働弁護団による労働相談ホットラインなどの窓口があります。

ワークルールと相談窓口を知っておくことが、力になります。

働きやすい職場とは?(弁護士 谷川 生子)

埼玉総合法律事務所 谷川生子

昨年末、女友達6人で、久しぶりに集まりました。わいわいと近況報告などしつつ、話題は「時短」に。
友人のほとんどが、仕事と子育ての両立に奮闘する中、家事を短時間で仕上げ、効率よく仕事を終える、しかもそれなりのクオリティを維持して、ということが至上命令(誰からの?)なのだそうです。

次から次へと出てくる時短の知恵に感心しつつ、アスリートのように1分1秒を削り、自分の責任を果たそうと一所懸命な彼女達を見ていると、出産後職場復帰した途端に「君の居場所はない。」と解雇を言い渡すとか、「育児休暇は1ヶ月しかとれない。」等と言って、暗に退職を促すというのは、権利侵害はもとより、使用者側にも実は不利益なのではと思いました。
第一子出産後、離職する女性の中で、子育てに専念したいという人は相当数を占めますが、働きづらい、と感じて退職する人もやはり多いようです。

事務所にも働くママが増え、ママにもそうでない人にも働きやすい職場とは?考えさせられる場面が増えました。
簡単には解決しない問題ですが、まずは一言、声をかけ合うところから始めるのが良さそうです。
今年もよろしくお願いします。

他者との対話(弁護士 谷川 生子)

埼玉総合法律事務所 谷川生子

原発事故後、福島から避難してきた依頼者のいる加須市に定期的に行っています。
騎西高校で避難生活をしていた頃からのおつきあいですが、あれから4年、落ち着いてきたとはいえ、今も故郷を想う気持に変わりはありません。

悲しみを背負いつつ、その人は、加須でカフェを開いて避難者同士のコミュニケーションの場を作ったり、炊き出しをしたりして、精力的に活動しています。
「(事故をきっかけに)たくさんの人に出会えた。」自ら人の輪を広げていくその人の行動力に敬服します。
他者と対話することで見えてくるものは、決して小さくないのでしょう。
私も身近なところから「対話」を実践したいと思います。

埼玉弁護士会「憲法と人権を考える市民のつどい」(弁護士 谷川 生子)

埼玉総合法律事務所 谷川生子

<掲載記事データはこちらをご参照ください>
2015年5月21日(木),埼玉弁護士会主催「ほんとうにいいの?集団的自衛権~あなたが戦地に派遣される時~」と題する市民のつどいが開催されました。
埼玉弁護士会では,2013年12月以降,5回にわたり集団的自衛権行使反対を唱える市民のつどいを開催しています。

1 これまでの経過

2013年12月10日の集会は「なぜ,今『国防軍』なのか」と題し,元外務省国際情報局長の孫崎亨氏,ジャーナリストの半田滋氏をゲストに迎えました。

2014年4月9日には,12月の集会の第2弾として「なぜ,今『集団的自衛権』なのか」と題し,ゲストに半田滋氏と元内閣官房副長官補の柳澤協二氏を迎えて開催しました。
この集会の参加者はおよそ600人で,国民の関心の高さがうかがわれました。

同年7月31日の集会は,作家のなかにし礼氏,学習院大学教授の青井未帆氏を迎え,1,000人を超える参加がありました。
なかにし氏には「若者よ 戦場へ行くな」という自作の詩を朗読して頂きました。

同年12月4日は,映画監督の山田洋次氏,中央大学教授の植野妙実子氏を迎え,2500人収容のホールで開催しました。
若い世代の参加者がいつもより多く見受けられました。

毎回,参加を募るために,市民団体等のつどいの連携を図る努力をしています。
2014年4月の市民のつどいの準備段階で,埼玉弁護士会と市民団体との懇談の場を設け,協力を呼びかけたことが功を奏し,当日はいつになく多くの市民の参加がありました。
以降,折に触れ,市民団体との意見交換の場を設けるよう努めています。

2 ほんとうにいいの?集団的自衛権~あなたが戦地に派遣される時~

(1) 今回は,大勢の参加を目指すよりも,若い世代の人々に呼びかけることに主眼を置いて,市民のつどいを開催しました。

集会の前半はイラク支援ボランティアの高遠菜穂子氏による講演,後半は同氏と,日本国際ボランティアセンター事務局長の長谷部貴俊氏,前述の柳澤協二氏によるパネルディスカッションという二部構成でした。
高遠菜穂子氏はイラクで,長谷部貴俊氏は主にアフガニスタンでボランティア活動を続けておられます。

前半:高遠氏による講演

高遠菜穂子氏には,イラクの現状,対テロ戦争とは何か,等についてご報告頂きました。
イラク政府は対テロ作戦として武力行使しかないと考え,米国から武器の提供を受け,ISと同様の行為を繰り広げている,しかし,ISの勢力拡大の要因を検証しないまま闇雲に武力を訴えたところで成功はしない,むしろそのイラク政府の対応が憎しみの連鎖を生み,さらにISの勢力を大きくしている,という構造について解説して頂きました。

また,ISの残虐行為はメディアに取り上げられてもイラク政府のしていることは取り上げられず,国際社会が事態を放置したことにより,さらにISが勢力を増していったことについて,映像を交えながらお話し頂きました。
その上で,対テロ作戦として武力行使一辺倒の国際社会を見て、日本だけ平和ではまずい,集団的自衛権を行使して国際貢献しよう,というやり方はおかしいと指摘されました。

そして,情報鎖国の状態を克服し,「戦争をしない国」にとどまらず「戦争を止める国」づくりが必要であり,しかもそのための具体策を講じなければならないとの訴えで講演が終わりました。

後半:パネルディスカッション

後半のパネルディスカッションは,長谷部貴俊氏と柳澤協二氏にそれぞれ短時間ご講演頂いた上で,始まりました。

長谷部氏からは,アフガニスタンの現状が,どこが戦争状態なのか,どこに敵がいるのかを見分けることも不可能なメチャクチャな状態であること,武器を保たず軍と関わらないことが身の安全を守る方法であること,日本が紛争地に軍隊を出せば間違ったメッセージが中東諸国に伝わることなどをお話し頂きました。

柳沢氏は,安保法制,新ガイドラインの中身の特徴は,日米が政策的に一体化していくこと,自衛隊が軍隊になること,と指摘した上で,集団的自衛権を使わず他国の余計な戦争に関わらなかったことが70年間の平和の理由であり,今その抑制的な専守防衛の防衛政策が変えられようとしていることについて,もっと議論が必要であるとお話しされました。

パネルディスカッションでは,集団的自衛権の行使容認がイラクやアフガニスタンでボランティア活動を続ける日本人に与える影響,今のメディアのあり方,また情報を受け取る国民側の問題点,等について意見が交わされました。
日本の持つ平和のイメージは,まだ国際社会で失われておらず,積極的に和解の仲介役としての役割を果たすべきであり,武力行使の他になすべきことはまだまだ沢山ある,というのがパネリスト共通の意見でした。

(2) 本集会への参加は480名,圧倒的に年配の方が多かったとはいえ,若い世代の参加も見られました。
情報鎖国の状態を嘆くばかりでなく,英語を習得して自ら積極的に情報を集めること,このようなときだからこそ海外に出て客観的に自国を見つめることの必要性を訴える高遠氏の言葉は,参加者の心に響いたと思います。
どこか遠い世界の事のように感じる戦争ですが,日本人が見知らぬ外人の人々から憎まれ,暴力の標的となる日が近づいている,と誰もが感じたのではないでしょうか。

今後も市民集会に限らず,様々な形で市民の方に訴えかける活動を続けたいと考えております。

浦和駅頭宣伝(弁護士 谷川 生子)

弁護士 谷川 生子

昨年から、毎月1回、自由法曹団埼玉支部と埼玉労働弁護団とが一緒になって、浦和駅頭で宣伝活動を行っています。

夕方の5時頃、急ぎ足で歩く人々に向けて、労働法制の改悪反対、集団的自衛権の行使容認反対等の呼びかけをしています。
その都度、団体の作成したパンフレットやチラシを配っていますが、年配の女性は比較的受け取りが良く、若い人や年配の男性はあまり受け取ってくれない印象です。

ですが先日、年配の男性がチラシを受け取ってくれ、声をかけられました。

「知り合いに何組も縁談まとめた人がいるんだけど、こないだ話がまとまりかけたときに男性が非正規社員だっていうことが女性の親にわかって、駄目になったって。これじゃあ子供が増えるわけないよね。自分はもう年だからどうってことはないけど、是非、若い人がきちんと将来設計できる世の中になるように、頑張ってください。」

様々な世代の人が、それぞれ社会に対し何かを感じています。駅頭で呼びかけている言葉が、誰かの頭にフィットする瞬間があるかもしれません。
今年も定期的に駅頭宣伝活動を続けるつもりです。
                               

憲法と人権を考える市民のつどい「なぜ、今『集団的自衛権』なのか」(弁護士 谷川 生子)

埼玉総合法律事務所 谷川生子

平成26年4月9日(水)、埼玉弁護士会主催で集団的自衛権をテーマにした市民集会が開かれました。
昨年12月に開催した「なぜ、今『国防軍』なのか」と題する市民集会の第2弾です。ゲストとして、昨年12月の市民集会にもご参加頂いた、東京新聞論説委員の半田滋氏をお招きし、今回はさらにもう一人、元内閣官房副長官補・柳澤協二氏にもご参加頂きました。

集会の前半は講師二人の講演、後半は当会の弁護士を交えた講師同士の対談という二部構成でした。以下、今回の集会についてご報告します。

1 集会の趣旨

初めに、大倉浩会長から、開会挨拶と、集会の趣旨説明がありました。
政府が国民の議論を待たず、集団的自衛権行使容認に向けた動きを加速させる中、弁護士には国民主権、平和主義について市民に説明する義務があると語り、今回のつどいを通じて、市民の方々に平和の大切さを理解してもらいたいと訴えました。

続いて、佐渡島啓副会長より、「集団的自衛権」、「個別的自衛権」及び「集団安全保障」等の用語に関する解説がありました。
歴史上、集団的自衛権が、アメリカによるベトナム侵攻、旧ソ連によるチェコ侵攻、アフガニスタン侵攻等、大国の他国に対する軍事介入の根拠として利用されてきた事実を指摘した上で、今日の日本にとって、本当に集団的自衛権の行使が必要なのか、安倍首相の唱える「積極的平和主義」の意味するものは何なのか、という問題提起がありました。

2 半田滋氏の講演

半田滋氏は「集団的自衛権のトリック」と題して講演されました。
半田氏は、東京新聞編集局社会部記者を経て2007年から編集委員、2011年からは論説委員を兼務しており、1992年から20年以上にわたり防衛庁及び防衛省を取材し、自衛隊の活動に精通しています。
半田氏からは次のようなお話しがありました。

・日米同盟の崩壊を防ぐため、公海での米艦艇防護を行う必要性があるとの主張があるが、実際に軍事力の違いを顧みず、アメリカに戦争を仕掛ける国があるとは考えられない。
友達が殴られそうになったらこれを守るのは当たり前だ、という考えを植え付けるために、かような例を持ち出しているのではないか。

・(自衛隊の活動風景の画像を示しつつ)人道支援のために派遣されたサマワの基地で、自衛隊員は、日の丸が4枚も貼り付けてある迷彩服を着て活動している。
自衛隊は人道支援なので、武装勢力に殺されないよう、あえて目立つ格好をしている。
対する米兵は、風景に溶け込んで人殺しをしなければならないため、当然迷彩服に星条旗はついていない。
集団的自衛権行使を認めれば、憲法9条の下での自衛隊の活動が、大きく様変わりしてしまう。

・陸上自衛官の自殺者数に注目したい。自衛官の自殺率は、一般公務員の1.5倍、イラクに行った自衛官の自殺率はその10倍である。イラクでは常にロケット砲弾の危機にさらされ、その過酷な経験から自衛官がPTSDになっている可能性がある。
しかし、政府は、自衛官の自殺の原因について調べていない。
特に政府が、イラク戦争への自衛隊派遣の正当性、イラク戦争自体の正当性をきちんと検証していない点を指摘し、安倍首相が、武力行使が引き起こす結果に一切言及せず、闇雲に集団的自衛権行使を進めようとしている点を批判しました。

3 柳澤協二氏の講演

柳澤協二氏からは、「安倍政権の安保政策/何を目指すのか/日本のためになるのか」と題する講演がありました。
柳澤氏は、内閣官房副長官補として、自衛隊イラク派遣を統括する立場にありましたが、憲法の歯止めを無視した政府の暴走を止めたいという思いから、本集会に参加されました。柳澤氏からは、次のようなお話しがありました。

・なぜ今「集団的自衛権」なのか。安倍首相の話は、国際情勢とは関係なく展開されているため、矛盾に満ちている。日米同盟を「血の同盟」にし、日米対等の関係を作らなければならないという個人的な思いだけで動いているのではないか。

・集団的自衛権行使に歯止めはない。遠方でも日本の安全に影響が及ぶことは考えられる以上、地理的な限定はできない。
また、日本はイラク戦争の際、当事国でない以上軽々に意見は言えないとのことでアメリカの武力行使に賛成しており、今後もアメリカが違法な戦争をするはずがないという前提で事にあたるならば、アメリカからの協力要請を断ることはできないだろう。

・日本のあるべき国際貢献の姿は、他国の戦闘行為に加担することではなく、高度な技術を教え、人材を育て、マネジメント能力を発揮することである。
あくまで政府は、戦争を回避するために世論を沈静化する役目を果たすべきであり、積極的平和主義の本来は、日本が国際秩序を積極的に守る立場に立つことであると語りました。

4対談・質疑応答

後半の対談の中で、柳澤氏が半田氏に、実際のところ自衛官はこの集団的自衛権行使容認に向けた状況をどう思っているのか尋ねました。
半田氏からは、自衛官は、相手から武力攻撃されないと反撃はできないと教え込まれている。
たとえば尖閣諸島に誰かが忍び込んだ場合、相手方が武力を使っていなくてもこちらは使っていいのか、そんなことが許されるのか、と戸惑っている状況にある、という話がありました。

また、平和を守るために自分にできることは何か、という会場からの質問に対し、柳澤氏は、日本の平和・安全は、政府だけでなく国民一人一人が考えるべきこと。
個々人が、その人格に基づいて平和を語り、自分の愛する者が死ぬことは嫌だと子や孫の世代に伝えることが大切だと語りました。
半田氏は、選挙を通して意見表明すること、国会前のデモに参加して声をあげる等、世論の力で政府の暴走を止めることが重要と回答しました。

最後まで参加者の熱気に包まれたまま、閉会となりました。

5予期せぬ参加人数

通常、憲法と人権を考える市民のつどいの参加者は概ね200~300人です。
特に今回のテーマは、日頃聞き慣れない「集団的自衛権」であって、どれだけの市民が関心を持っているか疑問であったこともあり、主催者側で当初用意していた資料は350部でした。
しかし、当日蓋を開けてみれば、用意していた資料部数をはるかに超える600人以上の参加がありました。
会場の埼玉会館小ホールの席数は500席であったため、場内で立ち見の人々の他、場外のモニターで見る人々が出る状況でした。
席につくことができなくとも、立ち去ることなく講演に聞き入っている参加者を見て、このテーマに対する国民の関心の高さ、危機感の高まりを実感しました。

6集会後の感想

集会後、半田氏からは「あれだけの人々の真剣な眼差しを受けたのは初めてで緊張した。なんとかなるかも、と勇気づけられた。」との感想があり、柳澤氏からは「埼玉の盛り上がりはすごい。
若い人たちに考える引き出しを作ってもらいたい。勉強会の企画等があれば協力する。」との言葉がありました。

集会の参加者が、それぞれ自分の考えに自信を持ち、共に歩もうという連帯感が生まれた集会となりました。
今回の市民集会で味わった熱気が、集会に携わった会員にとっても励みになったことは間違いなく、今後も市民の声を大切に、活動を拡げ、立憲主義に反する政府の暴走を止めよう、と会員同士決意を新たにしました。

7 今後の活動に向けて

今回、いつになく大勢の市民の参加があった理由は、テーマへの関心の高さ、講演者の顔ぶれに加え、弁護士会と市民団体とが事前に連携を図ったことにあります。

この集会を開催するまでに、弁護士会は、特定秘密保護法に反対する市民団体との懇談の場を設ける等、市民団体と会をつなぐ活動を行いました。
それらの活動が、当日の多くの市民の参加につながったと思われます。
弁護士会には弁護士会ならではの連携を作ることのできる可能性があり、今後、弁護士会が、集会の他、パレード、街頭宣伝等外部へ発信するにあたり、どこまで市民と協力できるか、会内で議論を重ねることも必要かと思います。

集会後、6月9日には、浦和で集団的自衛権に反対するパレードを行いました。約560人もの参加がありました。
7月31日には、浦和の埼玉会館大ホールで、集団的自衛権をテーマとする1300人規模の集会を開きます。

今後の弁護士会の活動に、一人でも多くの会員の皆様にご参加頂ければと思います。

憲法学習会(弁護士 谷川 生子)

弁護士 谷川 生子

昨年3月以降、何度か憲法学習会の講師を務めました。
話の中身は主催者の要望になるべく沿うようにしていますが、共通してお話ししているのは、憲法が国家権力に縛りをかけるものだということです(立憲主義)。

若い世代の参加者から、そんなふうに考えたことはなかった、勉強になった、という感想を頂くと、嬉しく思うと同時に最高法規である憲法の理念が人々にあまり浸透していないことを感じます。
そう言うと、日々の暮らしに精一杯で憲法のことなんか考える暇はないよ、と言われてしまいそうです。確かにそうかもしれません。
なるべく国民に考える暇を与えない、考える材料を与えない、それが為政者の常套手段です。

ですが、忙しい日常の中で、ふと政府のやり方に疑問を持ったり、なんだか不公平だと感じたとき、忘れず誰かに伝える、それを繰り返すことだけでも憲法を守ることにつながります。

この一年、憲法を守るための様々な取り組みが予想されます。
埼玉弁護士会では、これから本格的に憲法学習会の講師派遣を始めます。
そのほか、異なる分野の人々と知恵を出し合い、協力して、改憲阻止に向けた大きな流れを作ることが必要です。

また一年、どうぞよろしくお願いします。

女性のための労働相談「パワハラ・セクハラ」(弁護士 谷川 生子)

弁護士 谷川 生子

女性を対象とした労働相談で多くの割合を占めるのが、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント等の職場内における人格権侵害に関する相談です。
入ったばかりの職場で上司から「ぐず、なめくじ。給料ドロボー。」等の罵声を浴びせられた。
男性ばかりの職場で冷房が効きすぎて寒いと訴えたらわざと冷房が一番あたる場所に席替えを命じられた。
上司に命じられ運転手として車で現場に向かう間ずっと膝に手を置かれていた。
終業時間後に執拗に誘いのメールが来る。
産休後会社に復帰すると「まさか戻ってくるとは思わなかった。」と言われた・・・等々。

他人事と片付けないで

仕事のできない自分が悪い、きっぱり断れない自分が情けない、パワハラだとすら考えず毎日を鬱々と過ごしている女性が沢山います。

抗議すれば職場の人間関係が悪くなってしまう、あるいはクビになるかもしれない、と声を上げられないまま我慢を重ね、うつ病等の精神疾患を発症し、結局退職を余儀なくされる例も少なくありません。

その場合、長期間就業できなくなり、問題は深刻です。
/使用者には、労働者が安全に労働に従事できるように配慮する義務があります(労契法5条)。この義務の一環として、会社に「職場でのいじめ行為を防止する義務」を認める裁判例もあります。しかし残念ながら、パワハラ・セクハラに対する意識はなかなか高まりません。社内の相談窓口の他、労働局や弁護士への相談が必要です。/

そのような中、社内でパワハラが横行し、社員がつぶされていくのを見るに堪えない、職場環境を改善するためにどうしたらよいかという労働者からの相談がありました。
他人事と片付けない姿勢が、職場を、社会を変えていく力になると思います。

事務所と私(弁護士 谷川 生子)

弁護士 谷川 生子

入所して早くも5年が経ちました。弁護士1年目は、刑事事件でヘトヘトになった記憶があります。数の多さもさることながら、責任能力や故意を争う事件など、内容的に濃いものが集中していました。気難しい被疑者と接見室で怒鳴り合ったり、対応に苦労する事件に遭うたびに、先輩弁護士に助けてもらいながら何とか終えてきました。そのほか、失業して次の仕事が見つからず、所持金が底を尽いたあげくにオニギリを盗った人の事件。この人が、二度と同じことを繰り返さないためにはどうしたらよいのでしょうか。事務所には貧困問題、労働問題に先進的に取り組んでいる弁護士が多くいました。埼玉総合に入らなければ、定期的に開かれる生活困窮者向けの相談会やホットラインに参加することはなかったかもしれません。当事者の生の声を聞くなかで、自分も相手も同じ人間だということを実感しました。このことは、私が事務所の活動から得られた最も大きな財産かもしれません。

今、世の中は、最後のセイフティネットである生活保護基準切り下げの方向にどんどん進んでいます。先頭で旗を振っている人々が、八方塞がりで困っている人々の声を直接聞いたら、少しは変わってくれるでしょうか?
私にはまだ事務所の歴史は語れません。それでも、埼玉総合が、それぞれの時代で果たすべき役割の一端を担えたら、と思います。