【コラム】弁護士生活40年(弁護士 牧野丘)

思えば遠くに来たものです。40年間の経験のその向こうに司法試験受験生時代の鬱々とした日々が思い出されます。あの頃は合格率2%未満でいつ受かるとも分からない不安8割希望2割の日々でした。受験用参考書などはなくひたすら学者が書いた書物を読んでは考えるの繰り返しでした。受験生同士が私的にゼミを組んで勉強するのもトレンドでした。私の場合、早稲田の卒業生で構成されている「豊島ゼミ」に誘っていただいたのが、思えば合格への転換点でした。私のかなり個性的な文体をいい具合に直してくれ、一緒に旅行に行ったり、飲み会があったり、不安な日々を癒やしてくれる集まりでした。次々に合格者が生まれ、そうすると新しい人を仲間に誘うのですが、この中には、行列ができてしまうらしい野球フリークのKi弁護士や、なぜか最近ワイドショーで「元大阪地検検事」なる肩書きでテレビのコメンテーターとして出てくるKa弁護士もいたりします。みんな活躍しています。
加えて兵庫県弁護士会所属の永井幸寿弁護士。阪神大震災以後、災害問題の専門家ですが、現在ではそこを起点に、憲法の語り部としても活躍しています。その彼が6月に岩波新書で「戦争と法・命と暮らしは守られるのか」を上梓しました。早速読みました。わが国で戦争が起きたら何が起きるのか、どんな法制度になっていてどう機能するのか、ひいては国民は守られるのか、そういった事が豊富な具体例に言及しながら、しかも冷静なタッチで淡々と語られています。戦争のリアリズムを法律家の冷静な視点で分析し、その結果、戦争の恐ろしさを伝えることに成功しています。普段「ガハハ」と大きな口を開けて高笑いする彼の「日常」からは想像がつきにくいです。ほぼ同い年の彼がものすごい勉強を重ねてこういった仕事をしていることに刺激を受けずにはいられません。ぜひご一読を!

弁護士 牧野丘

(事務所ニュース・2025年夏号掲載)

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