コロナと外国人(弁護士 鈴木 満)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐために、入国規制が行われた結果、来日予定であった技能実習生が来日できなくなったことで、農業では、人手不足となり、その結果、野菜などの値段が高騰しました。
これは一例ですが、新型コロナウイルス感染症は、日本社会がいかに海外、外国人に依存していることを浮き彫りにしました。

外国人労働者は、日本社会を構成する人たちとして無視できない存在となっていると言えると思います。本年6月28日には、「日本語教育の推進に関する法律」が施行され、日本語に通じない外国人や日本国籍を有していても日本語に通じない人に対する日本語教育の推進に関する、国、地方自治体、事業主の責務が法律で定められました。
日本社会の一員ともいえる外国人労働者ですが、労働力の調整のために使われているところもあるため、新型コロナウイルス感染症による不況によって、影響を受けやすいのがこの外国人労働者です。

留学生の中には、飲食店などでアルバイトして学費や生活費を稼いでいる人も多いため、店が休業したことにより、収入がなくなり、生活に困窮している人もいると聞きます。また、技能実習生は決まった職種の実習先でしか働くことができず、実習先が倒産しても、次の実習先が見つからなければ、帰国しなければなりません。技能実習生の中には、日本での収入を充てにして、多額の借金をして来日する人もたくさんいるため、途中で帰国することは、とても大変なことです。留学生や技能実習生以外の外国人でも、在留資格が日本国内での職業と結びついている人がたくさんおり、そういった人たちの中には、職を失えば、帰国せざるを得なくなる人もいます。

ここで書いたこと以外にも、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の情勢の中では、外国人だから、ということで、様々なところで大変な思いをしている外国人がいると思います。外国人だから、日本人だから、ということで区別することなく、日本社会を構成する一員として手を取り合ってこの困難を乗り越えていけたらと思っています。

弁護士 鈴木 満

 

(事務所ニュース・2020夏号掲載)

 

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