民法改正 消滅時効 (弁護士 竹内 和正)

①一般債権について

債権の消滅時効における原則的な時効期間及び起算点は、債権者が「権利を行使することができることを知った時」(主観的な起算点)から「5年間」、又は債権者が「権利を行使することができる時」(客観的な起算点)から「10年間」行使しないときは、債権は時効によって消滅するとされました(新法166条1項)。改正法では、主観的起算点から5年、客観的起算点から10年という二本立てが原則とされており、このどちらか早い方の経過によって時効が完成することになります。

②生命・身体の侵害による損害賠償請求権について

生命・身体の侵害に基づく損害賠償請求権は、旧法から長期化され、債務不履行に基づく請求、不法行為に基づく請求のいずれも主観的起算点から「5年間」、客観的起算点から「20年間」に期間が統一されました(新法724条の2)。

時効制度は、社会秩序の安定、証明困難からの救済、「権利の上に眠る者は保護に値しない」ことがその存在理由と言われています。ただ、これらの理由が、権利を消滅させるという、ある意味で暴力的な時効の効果を正当化できるとは思えない事案も存在します。そのような事件を担当する度に、時効制度の意義について考えさせられますが、そうはいっても、注意をしておかないとトラブルに巻き込まれてしまいかねません。権利を失うことがないように早め早めに対応されることをお勧めします。

弁護士 竹内 和正

 

(事務所ニュース・2019夏号掲載)

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