民法改正 遺留分(弁護士 古城 英俊)

①遺留分制度とは?
遺留分制度とは、誰かが亡くなったとき、その法定相続人に、法定相続分の一定部分を保証する制度です。

②今回の改正のポイントは?
今回の改正前は、遺留分を侵害する不動産の贈与があると、遺留分を侵害された相続人(遺留分権利者)は、侵害割合だけ贈与の効力を消滅させることができ、その結果,不動産が贈与を受けた人と遺留分権利者との共有となりました。事業承継のために事業資産を贈与したときも,遺留分権利者の請求によって事業資産が共有状態となってしまうこともあり不都合でした。
そこで、今回の改正では、すべて金銭で解決することにしました。これにより共有状態が生じなくなります。遺留分権利者の権利は遺留分侵害額請求権と呼ばれます。
たとえば、誰かに不動産を与える遺言が、ある相続人の遺留分を侵害していたら、遺留分権利者は不動産を受けた人に対して、遺留分侵害額(金銭)を請求できるのみで不動産の共有状態は生じません。

③相続人の遺留分の割合は?
相続人が直系尊属だけの場合は,3分の1を直系尊属の頭数で割り算した割合,その他の場合は,2分の1にそれぞれの法定相続分の割合を掛け算した割合です。
亡くなった方の兄弟姉妹には遺留分はありません。

④遺留分侵害額請求権を行使できるのはいつまで?
相続の開始及び遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知ったときから1年間。相続開始等を知らなくても,相続開始から10年で遺留分侵害額請求権は消滅します。

弁護士 古城 英俊

 

(事務所ニュース・2019夏号掲載)

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