若者と選挙 (弁護士 鈴木 満)

若者の投票率が低いことについて、若者が政治離れをしていると表現する人がいます。
しかし、衆議院議員総選挙における年代別投票率の推移をみると、20歳代から60歳代の投票率はどの年代も20%から30%程度下がっています。
この結果からすると、政治離れをしているのは、若者に限られないのではないでしょうか。
若者は、日本社会で何十年も生きていくため、政策に最も利害関係を有する年代と言え、政治の動きに関心を持つのが自然だと思います。私は、今年で30歳を迎えましたが、私の周りにも、20代のころから、政治の動きに興味関心がある人が少なからずいました。
それにもかかわらず20歳代の投票率が低い理由については、様々なことが考えられます。
政治のことに強い関心が持てないほど働かなくてはいけない働き方の問題、政治から遠ざけるような学校教育の問題、不便な投票システムの問題などなど。
ただ、私たちが大きなシステムを変えることは容易ではありません。
私たちがまず行うべきことは、私たちのような大人が日常会話の中で政治の話をしたり、ちゃんと投票へ行ったりすることではないでしょうか。
「今どきの若者は」などと言わず、自分たちを省みていくことも、若者の投票率を上げることにつながると私は思います。
例えば、上司が飲み会などで部下である若者に社会問題に関する話をしてみてはどうでしょうか。
いきなり「どの政党を支持しているか」と聞いては答える側も難しいと思います。例えば、今、話題になっている年金について、「将来年金をちゃんともらうためにはどうしたらいいか」という話から入っても、深掘りすれば「今の与党の政策は大丈夫なのか」という話になるのではないかと思います。
若者も意識を変えなければならないところはありますが、未来の日本を担う若者にちゃんと政治に関心を持ち、投票へ行ってもらうために私たちも意識を変えなくてはならないと思います。
いつか「プロ野球のどのチームを応援しているか」くらいに、「どの政党を支持しているか」も気軽に話ができるような社会になればと思います。

弁護士 鈴木 満

 

(事務所ニュース・2019年夏号掲載)

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