奨学金・保証人2倍請求問題 (弁護士 鴨田 譲)

2018年11月1日の朝日新聞に「奨学金、保証人の義務『半額』なのに…説明せず全額請求」という記事が掲載され、私たち奨学金問題に取り組む支援者の間に激震が走りました。
まず、日本学生支援機構の奨学金は、借りる時に保証を付ける必要があり、人的保証か機関保証かを選択します。人的保証の場合は、連帯保証人(原則父か母)、保証人(叔父、叔母など)の2人を付ける必要があります。そして、保証人が2人いる場合、連帯保証人は奨学金全額の支払義務を負いますが、保証人は半額しか支払義務を負わないことが民法で定められています(「分別(ぶんべつ)の利益」と呼ばれます)。
それにもかかわらず、機構はこれまでに保証人に対し半額しか支払義務を負わないことを説明せずに全額請求しており、過去8年間で延べ825人に総額約13億円を請求し、9割以上が全額返済に応じていたことが分かったのです。
この記事が掲載された翌日、機構は、自ら返還請求をしてきた一部の保証人のみに対して支払うという救済策を発表しましたが、機構自ら保証人に知らせるわけではありませんし極めて不十分な内容です。
今後、保証人が支払った『過払金』を機構から返還してもらう必要があります。

弁護士 鴨田 譲

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