ダブルスタンダード(弁護士 伊須 慎一郎)

弁護士 伊須 慎一郎

日産自動車の最高経営責任者であるカルロス・ゴーン氏は2012年3月期の役員報酬9億8700万円をもらうようです。
赤字の日産を黒字にしたとか、利益を出しているから、約10憶円の役員報酬は妥当だという意見もありますが、豊田章夫氏(トヨタ自動車社長)の役員報酬1憶3600万円と比べると、あまりにも高すぎるのではないかという批判もあります。

これに対し、ゴーン氏は、グローバルスタンダード(世界の主要企業との比較)からすると、自分の報酬は正当な水準だと反論しています。

ところで、日産自動車は2008年秋のリーマンショックを理由に、事務系の女性派遣労働者を切り捨てました。
日本では、派遣労働者に代表される非正規労働者は不安定・低賃金の『二重苦』が当たり前のようになっています。

しかし、諸外国を見ると、雇用期間に定めがあるという不安定雇用の見返りに、正社員以上の賃金を保障することにより、『二重苦』を強いる不正義・不公正な働かせ方を規制しています。

日産自動車は、世界最悪と評価される派遣法すら守らないで、2008年秋以降に派遣労働者を切り捨てました。
ゴーン氏が、自分に都合良く高額の報酬を正当化するためにグローバルスタンダードを口にするのなら、グローバルスタンダードにとうてい及ばない世界最悪の派遣法をせめて遵守してからにすべきではないでしょうか? 

image_printこのページを印刷
シェアをお願いいたします。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次