福島第一原発の事故(弁護士 髙木 太郎)

弁護士 髙木 太郎

 福島第一原発の事故は、改めて原子力発電の危険性を明らかにし、わが国の原子力安全行政の貧困を露呈しました。安全に対する必要な検討、施策を取らずに国策として原発を推進してきた歴代政権、マスコミを抱き込んで安全神話を振りまいてきた東京電力をはじめとした電力会社、数々の原発訴訟で漫然と原発の安全性を認定してきた裁判官に対して、怒りを禁じ得ません。

 しかし、今、大切なのは、原発事故の早期終結と被災者の救済です。私たちは、埼玉に避難してきた被災者の方々への支援、福島県の南相馬市やいわき市、その他の地域への支援に早くから取り組んできました。被災者のニーズは様々です。きめ細かい対応をするためには、継続的に対応すること、多くのマンパワーが必要です。被災者の人たち、弱い立場の人たちに優しい社会、住みよい社会を作るためにこれからも頑張りたいと思います。

 世界ではフクシマを機会に原発からの脱却を目指す動きが広がっています。ところが、わが国では、依然としてマスコミに電力会社への遠慮があり、正面から原発廃止を求める論調が極めて弱い状態です。情けない限りです。また、そのような社会を構成している一員として恥ずかしくもあります。草の根から原発の問題点を指摘していく運動にも取り組んでいきたいと思います。

 暑さ厳しき折ですが、お体ご自愛下さい。

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