【コラム】クルドヘイト訴訟に参加して思うこと(弁護士 南木ゆう)

クルド人とは
クルド人とは、「国家を持たない最大の民族」といわれ、多くはトルコ、シリア、イラン、イラクにまたがる地域(クルディスタンと呼ばれる地域)に居住しています。クルド人は、居住する各国で抑圧されてきた歴史があり、世界各地で難民として認定されています。
日本には、2000人~3000人ほどのクルド人がいると言われていますが、その大半は蕨駅周辺の川口市内に住んでいます。
2013年に、クルドの文化を日本に伝え、日本に居住するクルド人同士の連帯を強めたり、日本とクルドの相互の交流を図ることを目的として、一般社団法人「日本クルド文化協会」が設立されました。日本クルド文化協会は、日本で生活するクルド人が日本社会の中で地域の方達と共に生活し、文化的にも社会的にも安心して暮らしていけるように、日本語の学習支援を行ったり、日本で生まれたクルド人の子供たちにクルド語やクルド民族の文化を教える活動を行っています。

クルドヘイト訴訟
2023年頃から入管法改正の議論が高まり、クルド人を標的にしたデマやヘイトスピーチがSNS上で蔓延するようになりました。そのような中、今まで主として川崎駅前で在日コリアンや中国人を攻撃する街宣を繰り返してきた日の丸街宣倶楽部という団体が、クルド人を攻撃する活動を行うようになりました。
そこで、昨年12月27日、日本クルド文化協会を原告として、日の丸街宣倶楽部の代表者に対する街宣活動差止及び損害賠償を求める訴訟を提起しました。同氏は、デモや街宣において、日本クルド文化協会が自爆テロを支援しているといったデマを喧伝したり、「クルド人を日本から叩き出せ」といったヘイトスピーチを繰り返し行っていたため、昨年11月21日に、さいたま地裁において、街宣活動を禁止する仮処分決定が出ていました。
専ら国籍や人種などを理由として、その者を著しく侮辱したり、地域社会から排除することを扇動する差別的な言動は断じて許されませんが、同氏はあくまで表現の自由(憲法21条)で守られるべき言論だと主張しています。

クルド人に対するヘイトの背景
クルド人に対するこのようなヘイトの背景には、文化の異なる外国人との共生の難しさ、地域住民の不安感、難民問題についての国の無策、経済的不安から来る極端な排外主義など様々な社会問題が複雑に絡み合っており、川口という地域の問題に留まらず、日本が喫緊に取り組まなければならない社会問題であると感じます。
「自分のつとめを怠ったり、自分に力があるのに他を助けなかった時、苦痛を感じるような女性になりなさい。」私の母校の教えで、今でも私が大事にしている考え方です。私に力はありませんが、自分にできる範囲で努力したいと思います。

弁護士 南木ゆう

(事務所ニュース・2025年夏号掲載)

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