夏には体育部の活動が盛んになり、様々なスポーツで大きな大会も開催されます。
しかし、災害級の暑さが続く近年の夏は、選手はもちろん、審判や関係者などの熱中症対策が重要なテーマになっています。
このような問題意識のもと、今年5月、一般社団法人日本スポーツ法支援・研究センターとNPO法人Safe Kids Japanが「熱中症から子どもを守る」と題するシンポジウムを開催し、私も運営側に加わりました。
このシンポジウムは、2017年から毎年、学校体育やスポーツの場面で深刻な事故となるテーマを選んで開催し、現場の教員やスポーツ指導者などにすぐに活用してもらえる事故予防の提言をしてきました。過去には、サッカーゴールの転倒やプールの飛び込み、組み体操などを取り上げてきました。今回は、夏を迎える前に効果的な熱中症対策を考える機会をもつという趣旨で5月に第1弾のシンポをおこない、今年10月27日には、この夏の状況も踏まえた上で第2弾のシンポを埼玉大学で開催する予定です。
酷暑の炎天下で行われることで批判もあった高校野球の夏の甲子園大会も、今年の夏は試験的に一部の日程で、試合を午前と夕方の二部制にするなど、熱中症対策が進められています。これに対し、全国スポーツ少年団軟式野球交流大会では、暑さ指数(WBGT)などの基準で試合を打ち切りや中止とする方針となりました。
確かに、勝敗より健康や安全が大事であることは当然です。大会運営側がリスク回避を優先するのも理解できます。しかし、大会を目指して頑張ってきた選手達が試合をできずに大会から去らなければならないという姿も見たくありません。
10月のシンポでは選手がスポーツを楽しむ権利とのバランスも重要なテーマになりそうです。当事務所のホームページでもシンポのお知らせをいたしますので、興味のある方はぜひご参加ください。
弁護士 佐渡島 啓
(事務所ニュース・2024年夏号掲載)
