本年6月9日、多くの反対がある中、出入国管理及び難民認定法(入管法)の改定案が参議院本会議で強行採決により可決され、成立してしまいました。
私は、この改定の内容には、様々な問題があると考えていますが、その一つが、改定前から存在する、送還停止効と呼ばれる難民認定申請者に対する強制送還を禁止する定めに例外を設け、3回目以降の難民認定申請者は、一部の場合を除き、難民認定手続き中であったとしても送還が可能となる点です。
難民認定申請者の子どもたちの中には、現時点で、すでに2回以上難民認定申請を行っている子どももいます。また、日本で生まれ育った子どもであっても、すでに3回目の難民認定申請手続きを終えた子どももいます。
そのため、改定された入管法では、日本で生まれ育ち、他の国にも行ったことがないような子どもですら、その意に反して、日本から退去させられる可能性があります。
アメリカでは、大学等で、非自発的な帰国が青少年に与える影響について研究がなされているそうです。
その研究では、強制送還のような非自発的な帰国は、青少年の成長過程に大きなマイナスの影響を与えるだけでなく、心理的な衝撃を与え、長期的な精神的トラウマを生む極めて非人間的なものであると認識されているそうです。
改定された入管法の施行は来年ですが、今回の改定によって、非人道的な不当な扱いを受ける外国人が増えないように、今後の動向を注視していきたいと思います。
(事務所ニュース・2023年夏号掲載)