【コラム】付添人活動(弁護士 南木ゆう)

榛名女子学園

少年事件における付添人活動は、成人の刑事事件の弁護活動と重なる部分もありますが、より多岐にわたります。
それは、少年法の目的が、処罰ではなく「健全育成」にあり、付添人の活動の目的が、「少年の更生」の援助にあるからです。

昨今、特殊詐欺の受け子・出し子や、組織的な強盗事件の実行犯役に少年が関与している事件が多くなってきています。
SNSの普及によりバイト感覚で容易に犯行に至ってしまうという問題点が指摘されていますが、少年事件に付添人として携わっていると、やはり家庭環境の影響が大きいことを実感します。

家族との関係が上手くいっておらず、家庭に居場所がない少年や、両親を早くに亡くし、適切な保護者不在のまま社会から取り残されている少年にも出会います。
このような少年は、得てして自己肯定感が低く、将来の夢を持つことも、自分の人生を大事に思うこともできなくなっています。

付添人として、少年に様々な視点から働きかけることはもちろんですが、社会資源(少年の更生に役立つと思われる全ての人的・物的資源)をいかに開拓するかというのも付添人の大事な活動の1つです。
自分の責任だと落ち込んでしまっている母親を励ましたり、「少年院で叩き直してもらえば良い」等と保護者としての責任を放棄して、面会にすら行こうとしない父親を説得することもあります。

自己満足かもしれないとは思いつつも、最近は3ヶ月に1回、適切な保護者のいない少年の授業参観や行事に参加するため少年院に通って、少年の成長を見守っています。

弁護士 南木 ゆう

(事務所ニュース・2023年夏号掲載)

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