【コラム】木の棒を育てる(弁護士竹内和正)

家のベランダに中型のプランターを2台置き、もう何年も花や野菜、ハーブなどを育てています。突然生えてきたキノコにおびえたり、はっぱを食い荒らす虫と(直接さわれないので棒で)対決したりしながらも、プランターで四季を楽しんでいます。去年は、プランターの端に勝手に生えてきた雑草に、3か月程度、毎日水をあげ続け、こんもりと大きく育てることにも成功しました。

栽培欲は留まることを知らず、観葉植物も育ててみたいと考えるようになっていたのですが、室内の観葉植物に虫が発生してしまったらと考えると、怖くて手を出すことができませんでした。そうしていたところ、物欲しそうに観葉植物を眺める僕の姿をみかねた家族が、昨年の誕生日にお猪口に植えられた小さなパキラを贈ってくれました。僕は、とても嬉しくて、(家だと虫がついたら困るので)事務所で育てていたのですが、パキラは日を追うごとにどんどん元気がなくなり、葉が落ちていってしまいました。僕は、穴がなく水が抜けないお猪口の構造に問題があると考え、パキラを鉢に植え替えました。そして、その結果、現在は、おしゃれな白い漆器の鉢に、「パキラ」と書かれた札と、木の棒だけがささっている状態になっています。

そして、それから半年、僕は木の棒に水をあげ続けています。僕としてはパキラを育てているのですが、事務所の皆さんからすると、木の棒に水をかけ続けているように見えていると思います。さすがに気味が悪いのか、どうして僕が木の棒に水をかけ続けているのか聞いてくる人はいません。

枯れるも何も、現状、ただの棒なので、いつあきらめてよいかもわかりません。このままでは、新葉が出てこない限り、僕は黙々と、これからずっと、木の棒に水をあげ続けなければならないことになります。 なんとか今年、新葉が出てくれることを切に願います。

弁護士 竹内 和正

(事務所ニュース・2023年新年号掲載)

こちらの話には続きがあります。続編はこちらです。

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