【コラム】奨学金保証人訴訟(弁護士鴨田譲)

日本学生支援機構の奨学金は、借りる際に人的保証を選択した場合、連帯保証人と保証人の2人を付ける必要があります。
この場合、民法上、連帯保証人は奨学金全額の支払義務を負いますが、保証人は半額しか支払義務を負いません(「分別(ぶんべつ)の利益」と呼ばれます)。
しかし、機構はこれまでに保証人に対し半額でなく全額を支払わせていたことが分かり、2019年5月、札幌地裁と東京地裁で各2名の原告が払いすぎた奨学金の返還等を求める裁判を起こしました。
2021年5月には、札幌地裁で過払金元金の返還を認める判決が下され、2022年5月の札幌高裁では、機構を「悪意の受益者」と認定し、過払金元金に加え利息も付した返還を命じました。

これを受け、機構は上告を断念し、半額以上の支払をした本件原告以外の保証人に対しても利息を付けて過払金の返還をすることになりました。
その後の2022年10月、東京地裁では和解が成立しました。
この和解では、保証人への返金通知書には理解しやすい平易な説明を行うこと、機構がデータを消去した場合であっても丁寧な対応に努めること、今後機構は保証人に対して半額を超える額を請求しないことなどを機構が約束しています。

機構については、今回のような誤りが発生した原因を十分に調査してもらいたいですが、元を辿れば機構奨学金の保証制度自体に問題がありますので、人的保証は速やかに廃止し、将来的には機関保証も廃止する必要があると思います。

弁護士 鴨田 譲

(事務所ニュース・2023年新年号掲載)

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