【コラム】 研修に行きたい(弁護士竹内 和正)

次々に変化する法律や新しい裁判例に対応するため、また研究すべき問題について情報を共有するために、弁護士業界では多くの研修会が開かれます。僕も弁護士になってから、たくさんの場所に研修に行きました。北は北海道、南は沖縄まで日本中を飛び回り、ドイツに行ったこともありました。弁護士という仕事は大変なことが多いけど、頑張って続けていけばこのペースなら日本全国をまわることができるかもしれないと夢が広がりました。

弁護士になりたてのころは、研修後の食事が楽しみでした。それからだんだんと研修を自主的に午前中で切り上げ、午後からは単独でフィールドワークに励むようになりました。名所、名物を楽しみ、時にはスポーツ観戦まで、まさに人生の研修をうけていたといっても過言ではない気がします。そして、最終的には研修に参加する弁護士と一緒に(時には前日から)現地入りし、研修組が研修中はフィールドワークに励み、研修後に2次会から合流するかたちに落ち着きました。広島まで行って野球観戦をしていたときは我ながらどうかと思いましたが、赤いタオルを肩にかけた僕の合流を許した研修組の皆さんもどうかと思います。先輩の弁護士と痛飲した翌日に「このままでは『酒さえ飲まなければいい人なのに。』とお互い言われてしまうから気を付けよう。」との金言を頂いたのも研修先の京都でした(それから10年近く経って、その先輩弁護士が実際にそのように言われていることも含め感慨深い出来事です。)。よい仕事をする条件として「遊ぶように働くこと」がよくあげられますが、研修中の僕はまさに遊ぶように働くことができていました。

しかし、コロナ禍、そしてそれに伴い急速に普及したZOOM等のテレビ会議システムによって、現地での研修はなくなってしまいました。許せない。
仮にコロナが収まってもテレビ会議システムがあるから研修に行く必要なんてないじゃないかという意見があるかもしれません。しかし、テレビ会議システムでは学ぶことができない研修が現地にはあります。

今年こそ気兼ねなく研修に行けるでしょうか。そろそろ研修が必要な食べたいものや行きたい場所がたまっています。

                      弁護士 竹内 和正

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