「難民研修会に参加して」 弁護士 鈴木 満

先日、埼玉弁護士会の外国人人権センター運営委員会主催の、ビルマ難民に関する研修会に参加してきました。
講師は、在日ビルマ人難民申請弁護団の代表の渡邉彰悟先生でした。
ちなみに、ビルマとは昔のミャンマーの呼び名です。

お話を聞いて、改めて日本の難民認定のハードルの高さを実感しました。
日本では、難民条約上の「難民」と認められれば、難民として保護され、在留資格が与えられます。
しかし、難民条約上の「難民」に当たるかどうかについての日本の考え方は、難民条約の適用を監督する国際機関であるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の考え方よりも厳しいものとなっているそうです。

また、渡邉先生は、クーデター後のミャンマーのことについてもお話されていました。
ミャンマーの悲惨な現状は日本でも時折ニュースなどで流れていますが、渡邉先生からしてみると、それは現実の3%ほどにすぎず、実際はもっとひどい状況のようです。
研修会の中では、デモに参加していた市民を助けた救急隊員たちが、軍人に銃や警棒のようなもので何度も何度も殴られる動画が流されたのですが、医療従事者まで弾圧されていることにとても衝撃を受けました。

こういった状況を踏まえて、日本政府も在留資格の関係でミャンマー国籍の人たちに特別の措置をとったようです。

・国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置(法務省 出入国在留管理庁ホームページより)
http://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/10_00036.html

ミャンマーの現状に鑑みると、日本に在留できる可能性のある方法ができたことは良いことだと思います。
しかし、これらの方法は、必ずしも難民と認めるものではなく、情勢が安定するまで、短期的な在留資格の更新を繰り返すことを前提としているものもあります。
短期的な在留資格しか取得できなかった場合、在日ミャンマーの人々は、ミャンマーの不安定な状態がいつまで続くのかわからないのに、日本では、いつ在留資格の更新が認められなくなるかわからない不安定な立場で滞在することになります。

ここにも、外国人をなかなか難民とは認めない日本政府の姿勢が現れているように思いました。
先日、ワールドカップ予選に出場するために来日したミャンマーのサッカー選手が難民として認定されましたが、日本政府は、帰国すると迫害に遭う恐れのある在日ミャンマーの人々については、このサッカー選手と同様に難民と認めるか、もっと長期の在留資格を認め、安定した地位を認めてあげた方が良いと思いました。

弁護士 鈴木 満

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