民法改正 賃貸借契約(弁護士 月岡 朗)

①賃貸期間の上限を50年に
改正前の民法では賃貸期間の上限は20年とされていましたが、50年に改正されました(改正民法604条)。これは、大型のプロジェクトや重機、プラントのリース契約などにおいて20年を超える賃貸借契約を結びたいというニーズがあったからです。
ただ、建物の賃貸借契約や建物所有目的の土地の賃貸借契約については、借地借家法により賃貸期間の上限はありません。

②貸主の修理義務・借主の修理の権利
貸主は原則として賃貸物を修理する義務を負いますが、借主の責任で修理が必要となった場合には修理する義務はありません(改正民法607条)。
また、借主は、緊急の必要がある場合や、貸主に修理を求めたのに貸主が相当の期間内に修理しない場合には、自ら賃貸物を修理することができます(改正民法607条の2)。

③借主の原状回復義務
借主が、賃貸物受取り後に生じた損傷について原状回復する義務を負うことが条文に書かれました(ただし、通常の使用での損傷や経年変化、賃借人の責任のない損傷は除く。改正民法621条。)。

④貸主の地位の移転と敷金のルールの明確化
賃貸不動産が売却された場合に、買主が、売主から貸主の地位を引き継ぐ場合のルールが明文化されました(改正民法605条の2)。
また、賃貸借契約が終了した場合に、敷金が未払賃料等に充当される等、敷金に関するルールが明文化されました(改正民法622条の2)。これらのルールは、これまでの判例や実務における運用を明文化したものです。

弁護士 月岡 朗

 

(事務所ニュース・2019夏号掲載)

 

 

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