人口減少社会と地域再生(弁護士 猪股 正)

地方のあちらこちらでシャッター通り化した商店街を目にします。人口減少が進み、国交省の推計では、2050年には、全国の約半数の地域で人口が50%以上減少し、約20%の地域が、人が住まない「無居住化地域」となる可能性があるとされています。地方が衰退すると同時に、東京への一極集中が進んでいます。

このまま都市への人口の一極集中が進むと、ますます地方が衰退し、格差は拡大し、日本社会の持続可能性が低くなる。そして、このまま8~10年が経過すると、都市集中型を地方分散型へと転換しようとしても、もはや手遅れになる。AIを活用した日本社会の未来に関するシミュレーション(京都大学の広井良典教授らの研究)の結果です。
大企業の利益を優先し非正規雇用を拡大させる政策をとれば、不安定な働き方の若者が増え、結婚や子育てが困難になり、人口が減少するのは当たり前です。地方でも医療や介護を安心して利用できなければ地方から人が離れ衰退するのも当然です。

2020年の日弁連の人権擁護大会のテーマの一つが「人口減少社会を乗り越える地域再生の社会保障」となりました。憲法は地方自治を保障しています。私たちに身近な地域から、社会のあり方を変え、危機を乗り越えていくことが必要だと思います。

弁護士 猪股 正

 

(事務所ニュース・2020年新年号掲載)

 

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