今週の埼玉総合総合ニュース

マスク

外出時にはマスクをして出かけるのがすっかり習慣になりましたが、
少し前までは、一定の場面においてマスクを着用したままでいるのは失礼だという風潮が結構あった気がします。

数年前のことですが、当時私は妊娠中で感染症予防のため外出時には必ずマスクを着用するように、と医師から指示されていました。
当時、裁判員裁判が係属中で、自身が発言するときはマスクを外していましたが、そのほかの時間はマスクを着用したままでいました。
そうしたところ、裁判員の一人が、「裁判中に弁護人がマスクをしたままなのは失礼だ」という趣旨の感想を述べていたと裁判官から指摘されました。
裁判官もその意見に同調するような雰囲気だったので、そのときは謝罪しましたが、ちょっと複雑な気持ちになったのを覚えています。

それが今や、マスクの着用を拒否した弁護人が、裁判長から咎められ、審理が2時間ストップしたということがニュースになっていました。
時代が変われば常識も変わるものです。

しかし、話し手の表情、話し方、声の張り方、その熱量など、会話にはマスクをしていては伝わらないたくさんの付随した情報があります。
ただ、声が聞こえれば良いというものではなく、他の人の話を聞いているときの当事者の表情なんかも裁判では重要になってくる場面もあると思います。
とくに刑事裁判は、被告人の人生がかかっている場ですから、妥協は許されず最善を尽くしたい、と考えるのは当然です。

するのが、あるいは、しないのが「失礼」「違和感がある」とかいう、根拠の乏しい同調圧力ではなく、各場面においてメリット・デメリットを考え、
他に取れる策がないか等、検討・対応していかなくてはいけない時代になったのかなと思っています。

あ、でも、きちんとお化粧をしていなくても、マスクでごまかせるような気がするのは、ちょっと良いところですね。

弁護士 南木 ゆう

 

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