劇団民藝「闇にさらわれて」

 

劇団民藝の「闇にさらわれて」を観ました。
いつも思うことですが、舞台俳優さんは、みなさん、いい声をしています。特に、コンラート博士役の千葉茂則さんの声は役にもぴったりで良かったです。

権力が法律を超越することを許してしまった当時のドイツと、今の日本の政治が重なり、恐
怖を感じました。
弁護士ハンス・リッテンがヒトラーの恐ろしさを法廷で明らかにしましたが、多くのドイツ国民がヒトラーが侮辱されたと、自分のことのように感じたのでしょうか。
その後、ナチスが政権まで取ってしまい、敗戦まで、多くの命が奪われました。

劇中、ハンスは勇敢であることは、有能であることにつながるのであれば、意味があるという趣旨の話をします。

ハンスは最後はダッハウの強制収容所で自殺したとされています。中国でも多くの弁護士が拘束されています。
勇敢であり、有能である人物が、政治体制に背いているという理由で、拘束され、死にいたるということは、その国はもはや民主的な国家ではなく、許しがたいことだと思います。

なぜ、ハンスたちが、恐怖の中でも、権力に屈することなく、最後まで自分の正しいと考えた道を貫くことができるのか?

恐怖や諦めが社会を席捲したとき、私たちに果たして何ができるのか、どのように生きるのか、自由に生きるというのは厳しいものだと、つくづく感じました。

弁護士 伊須 慎一郎

 

 

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