雪の降る福島で(弁護士 猪股 正)

弁護士 猪股 正

2014年11月14日、飯舘村の村民2837人が、東京電力を相手方として、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)に集団申立てをした。
私も、弁護団に参加し、第2次集団申立て準備のため、12月6日、福島へ行き、飯舘村から避難中の3世帯の方から事情をうかがった。
この冬一番の寒波が到来し、福島でも午後から雪が降り始めた。

飯舘村は、福島第1原発から北西39キロに位置する。
2011年3月11日の大震災後、同月15日、福島第1原発2号機の格納容器が破損し大量の放射性物質が放出され、風により北北西へ運ばれた。同日夕方からの雨は翌日に雪に変わった。この雨と雪で、放射性物質が地表へ沈着し、飯舘村に高い汚染をもたらした。
しかし、当時、汚染情報は、村民に知らされなかった。

「炊き出しに参加して、外で、大きな鍋で牛乳を沸かして、みんなで飲んだの」
「雪が降った後、子どもたちは、雪で遊んでた。何にもわからなかったから」。
数分の沈黙が続いた。
悔しさで、お互い涙で声が詰まった。

こんなことは許されない。
償い、二度とこんなことが起きないようにすることが、生きている者のつとめのはずだ。

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