自殺大国を走る(弁護士 猪股 正)

弁護士 猪股 正

 今、この日本では、12年連続で年3万人以上、1日90もの人が自殺によって命を失っています。自殺率は先進国中、ワースト1です。自殺対策として、埼玉では、昨年から、行政と民間が連携して、「暮らしとこころの総合相談会」を毎週開催しています(木曜15時~ジャック大宮5階)。

 この相談会参加団体の有志で企画し、12月10日、11日、県内横断・みんなで自殺をなくすリレーマラソンを敢行しました。快晴の中、正午に、秩父椋(むく)神社をスタートしました。椋神社は、明治時代、借金や貧困に喘ぐ農民が秩父困民党を立ち上げて蜂起した場所です。秩父から、36区間、85キロ、参加者50人、1区間2人~10人が併走し、延べ100人が、たすきをつなぎ、「みんなの力を合わせて自殺をなくそう。」と自殺防止を訴えながら走り、翌日の昼にさいたま新都心にゴールしました。新聞を見て応募した人や、小学生、中学生、町役場の人も走り、私も、割り当てられた9区間、20キロを何とか走り抜くことができました。沿道からはたくさんの応援をもらいました。

 このリレーマラソンの企画や準備の中心を担って支えたのは多重債務の被害者である夜明けの会の人たちです。ランナーの中には、元路上生活の人もいます。この企画を知ったある男性からは次のような連絡をもらいました。少し前に友人を自殺でなくした。自分に何かできたのではないかと悔やまれて仕方ない。もう友人は戻らないが、今、自分にできることをしたい。今回は都合がつかないが、自分の分も頑張って走って欲しい。

 こういった人たちの思いが、マラソンに参加した人や応援してくれた人から、リレーマラソンのたすきのように、これからも、次の人へ、また次の人へとつながれていくと信じています。

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