いつかは必ず正義が勝つ(弁護士 猪股 正)

弁護士 猪股 正

 2008年、秋葉原連続無差別殺傷事件が起きた年。全国各地で大量の派遣切りが行われた。大企業にとって、派遣など非正規労働者は雇用の調整弁であり、景気後退局面で予定どおり切り捨てられた。その結果、仕事と住まいを同時に失い、明日生きるのも困難な人が各地で続出した。2009年9月、労働者派遣法の「抜本」改正を公約に掲げた新政権が誕生した。しかし、約束は違えられ、政権が変わっても「抜本」改正は行われていない。

 2011年、福島第一原発が爆発し放射線で広大な地域が汚染された。多くの人の生活が根こそぎ破壊され人々の健康や命が危機に曝されている。事故から1年もたたず、事故の検証さえ終わっていない。それなのに、一部原発は再稼働し、原発を推進してきた政治家も、原子力安全委員会の長も、誰も事故の責任をとらない。さらに驚くべきことに、テレビに映る国会議員は、当然のように原発を海外へ輸出すべきと主張し、政府も、その方針で動いている。

 人の働き方や生活より利益を追求することが大事だ。経済のため、利益獲得のためであれば、毒でも凶器でも売っていい。こんな不正義がまかり通る国は、いくらがんばっても変わっていかないのだろうか。

 そんな思いに沈んだとき、たまたまネットで、中村和雄さん(日弁連貧困問題対策本部の仲間で2月の京都市長選に立候補予定)が信条とする言葉を目にし、気持が前に向いた。「いつかは必ず正義が勝つ。」。2012年、そう信じて、一歩一歩進んで行きたいと思う。

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