昨年5月に改正された下請法が、今年一月一日から施行となり、法律名も中小受託取引適正化法(略称)と変わりました▼下請法は、独占禁止法の「優越的地位の濫用」規制を補完する特別法で、委託事業者(親事業者)と中小受託事業者(下請事業者)との間の不公正な取引(代金の支払遅延、不当な返品など)を規制し、中小受託事業者の利益を保護することを目的としていました▼例えば昨年は、トヨタ自動車の子会社が、自動車部品等の製造を委託している取引先に金型等を無償で保管させていたことや、部品製造を委託した取引先から完成品を速やかに受領しなかったこと、ビックカメラが電気製品等の製造を委託した取引先に対し、「販売支援金」等の名目で代金を一方的に減額したこと等について、公正取引委員会が下請法違反として勧告・指導しました。この下請法の目的は、取適法に改正されても変わりはありません▼ただし、近年の物価上昇を上回る賃上げを実現するために、中小企業が賃上げの原資を確保できるよう、構造的な価格転嫁の実現が重要な課題となっています。そこで、委託事業者が中小受託事業者との価格交渉に応じなかったり、価格決定のために必要な説明や情報提供をせずに一方的に代金額を決定して、中小受託事業者に負担を押しつけることも禁止事項に加える等、改正法によりいくつかの規制が加わりました▼中小企業で働く労働者の賃上げためにも、不公正な取引によって中小企業が不利益を被ることのないよう、取適法も活用しながら活動していきたいと思います。
弁護士 佐渡島 啓
(事務所ニュース・2026年新春号掲載)
<今年の目標> AIを使いこなす

