「ジョージオーウェル『1984』」弁護士 伊須 慎一郎

 

ずっと読みたいと思っていた「1984」を読みました。
「二重思考」という言葉が頻繁に出てきます。
オセアニアという国の国民は、国の誤りを見つけても、それを無視するか、過去の事実(誤り)が間違いで、現在の国が正しいと信じ込むようにさせられた状態にされている。

過去を支配する者は未来を支配し、現在を支配する者(少数の権力者)は過去を支配する。

おそろしいことですが、2021年の今現在も、私たち、国民は、二重思考の罠にからめとられようとしているのではないでしょうか。

国家も、人間(私)も誤りや間違いを繰り返します。
しかし、誤りや間違いに学ばなければ、本当の自由や平和は獲得できないのではないでしょうか。

原発の安全神話の誤り慰安婦、南京大虐殺、アウシュビッツの大虐殺の否定・矮小化
広島・長崎の甚大な被害を忘れたかのような核の傘の下での生活
軍隊が政治権力を握る恐怖(国民を守るはずの軍隊が国民に銃を向ける)

ジョージオーウェルは、救済策は教育だと指摘していますが、この日本でも教育格差が拡大し、高騰する学費に学ぶことも不自由になっています。
そう考えると、社会は悪くなる一方かと暗い気持ちになりますが、最後の解説の中で、トマス・ピンチョンは「彼は予測される不可避な情況に苛立ちを感じる一方で、その気になれば変革をもたらすことを普通の人々が持っていることを一貫して信じていた。・・・我々自身が、その信頼が裏切られることのないように、やらなくてはならないことは、何でもやるのだ、と」述べています。

諦めてはならないということなのだと思います。

弁護士 伊須 慎一郎

 

 

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